SAF動向=元売り各社、西日本で事業本格化へ
経済産業省は21日付で元売り各社が計画しているSAF(Sustainable Aviation Fuel)事業の支援を採択した。元売り4社ともに西日本の各基地を活用し、SAF事業を展開する方針だ。
ENEOSは和歌山製造所で大規模なSAFの製造設備導入および既存設備の改造を実施する。廃食油や獣脂などの廃棄物や副産物を主原料とし、2028年度以降に年間約40万klのSAFと一部ナフサや軽油留分の製造を想定している。三菱商事が国内外での原料調達を手掛けるなど、両社で国産SAFの量産供給体制の構築を目指す。
出光興産は徳山事業所でSAFを製造する方針だ。2028年度までに生産を開始する計画で、年間25万klの製造設備を立ち上げる。原料には廃食油等の廃棄物や大豆油、将来的にはポンガミア等の油糧植物など温室効果ガス削減率の高い複数油脂を活用する。
コスモエネルギーHDは三井物産と協業し、堺製油所で年間3万klのSAF製造および供給とは別に、2029年以降に坂出物流基地で年間15万klのSAFと約1万7,000klのリニューアルブルディーゼル(RD)製造および供給を目指す。バイオエタノールを原料としたATJ技術を採用する構えだ。
太陽石油は2028年度末までに沖縄事業所へSAF製造設備を立ち上げ、2029年度からSAFおよびRDの供給を本格化する。米国UOP社のEthanol To Jet(ETJ)技術を活用し、年間20万klを製造する。UOP社の技術導入は日本およびアジアパシフィック地域で初めて。
原料のエタノールは海外産を中心に使用する予定で、沖縄事業所の既存設備を活用する。将来的には沖縄産サトウキビ由来や全国の耕作放棄地を活用したエタノール製造など、地方創生も検討していく。