電力=3月17~21日:電力スポットは前週比で反発、関東で季節外れの降雪も
3月17~21日受け渡しの電力スポット価格24時間の週間平均は、東日本(50Hz)および西日本(60Hz)ともに前週から反発。週を通じて春の陽気だった前週から一転し、週半ばまで全国的に寒の戻りとなったため、暖房需要が増加し、価格も底上げの動きとなった。とくに19日は、関東で季節外れの降雪に見舞われるなど、東京エリアのこの日の最大電力は10~11時に4,689万kWに達し、発電設備の使用率は94%に上昇、予備率は5.8%まで低下した。なお、21日には再び春の陽気となり、価格も下押し傾向が強まった。 東西の主要エリアである東京と関西の電力スポットの24時間平均の値差を見ると、17日が0.87円、18日が0.46円、20日が0.42円の西高東低となり、19日が0.25円、21日が0.35円の東高西低となった。
3月第3週の燃料相場は下記のとおり。 北東アジア市場のLNGスポットは、3月第2週から反落した。3月19日時点で期近の25年5月着品がmmBtuあたり13ドル台前半となり、前週末時点(3月14日)から0.2ドル程度の下落となった。欧州の天然ガス相場が軟化したことを映し、北東アジア市場のLNG相場もつれ安となった。また、北東アジア市場では需要家による買い気が低調だったことも、相場の弱材料となった。経済産業省が3月19日に公表した、3月16日時点の発電用LNGの在庫は156万トンとなり、前週から22万トン減少した。減少は2週連続。前年3月末時点の148万トンを上回ったが、過去5年平均の203万トンを下回った。 豪ニューキャッスル積みの一般炭相場は、3月19日時点の25年3月積みがトンあたり97ドル台半ばとなった。前週末時点から3ドル弱の下落。ガス価格の下落に連動した。 原油相場は、3月21日午前時点でWTIの25年4月物がバレルあたり68ドル台半ば、ブレントの25年5月物が72ドル台前半の水準。前週末時点から、WTIおよびブレントともに1ドル以上の上昇となった。米軍による親イラン武装組織のフーシ派への軍事攻撃が行われるなど中東の地政学リスクの高まりが強材料となった一方、ロシアとウクライナの地政学的リスクが和らぐとの観測が弱材料視されるなど、強弱材料が拮抗した。
週を通じた実勢高値は、18日に中部から四国の西日本5エリアで付けた41.49円となった。一方、実勢安値は0.01円となり、20日に四国と九州で、21日に中国、四国、九州でそれぞれ付けた。 エリア別の24時間の週間平均は、北海道が前週比で2.88円高の14.37円、東北が同2.37円高の13.22円、東京が同2.06円高の13.36円、中部が同1.45円高の13.56円、北陸と関西が同1.51円高の13.59円、中国が同1.31円高の13.17円、四国が同1.07円高の12.55円、九州が同0.37円高の11.11円だった。 売買入札量の週間平均は、売り札が前週から10.4%減の12億3,360万3,260kWh、買い札が同8.4%増の10億4,520万7,150kWhとなった。約定量の週間平均は、同1.1%増の8億1,762万8,060kWhだった。
3月17~21日の9エリアの電力需要は、126億4,814万2,000kWhとなり、前週3月10~14日の119億2,208万8,000kWhから6.1%増加した。曜日を合わせた前年の3月18~22日の需要実績は126億5,824万3,000kWhで、減少率は0.1%となった。
3月17~21日の東京商品取引所(TOCOM)の約定は下記表のとおり。
3月17~21日の欧州エネルギー取引所(EEX)の約定結果は下記表のとおり。348件・2,993MWの約定があった。
3月第4週の電力スポットは、下押し傾向が強まりそうだ。最高気温は、関東から九州にかけて20度以上の日が続くため、暖房需要が急減し、電力スポットの買い気も低調になるとみられる。また、週半ばまでは潤沢な太陽光発電が見込まれるため、九州や四国では0.01円を付ける時間帯も増えそうだ。一部の市場関係者からは、「東西ともにベース価格は10円前後で推移する日が続くのでは」(新電力の市場取引担当者)との見方も示された。本格的な不需要期入りに伴い、上値の重い展開が続くとみられるが、今後も多くの火力発電が定期点検などで停止し予備力は低下するため、不慮の設備トラブルなどが生じた場合、想定外の価格上昇を招く可能性はある。
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