新春特集=バイオマス、2025年は新規発電所の立ち上げの進捗に注目
輸入バイオマス燃料の木質ペレット、パーム椰子殻(PKS)とも2024年は供給余剰感から夏場に相場が急落したものの、秋以降は割安感から買い気が回復し、徐々に値を戻している。日本では25年に大型バイオマス発電所の立ち上げを控え、いずれの燃料もさらなる需要の伸びが期待されているが、強材料ばかりではなさそうだ。 2024年は日本からの買い気振るわず 木質ペレットは2024年、火災によるバイオマス発電所の運転停止が相次ぎ、浮遊玉が発生。スポット購入余地のあった他の発電事業者向けにこれらの玉が供給されたことでスポット需要が満たされる展開となった。 一方、北米大手サプライヤーのENVIVA社は24年3月に米連邦破産法第11章(チャプター11)を申し立て、法的再建手続きに入った。その後も米国産ペレットの日本への流入は続く一方、水面下では多くの日本商社がベトナム産ペレットでの供給確保に動いた。 PKSでは、固定価格買取制度(FIT)のもと運営するバイオマス発電所にとり、第三者認証を取得した燃料のみで運営する初めての年となった。当初は供給が不足すると懸念されていたものの、4月以降、認証品の供給は順調だった。 一方、発電事業者の多くは供給不安からスポット購入余力を残さず2024年度を迎えており、需要は低迷。このなか、インドネシアの大手サプライヤーが在庫を抱えることになり、売唱えを大きく切り下げてスポット販売に動いたため相場が暴落した。24年9月末にはFOBインドネシアがトンあたり76ドル、FOBマレーシアは同77ドルといずれもレポート発刊以来の最安値をつけた。
2025年度は、複数の大型バイオマス発電所の立ち上げが控えている。これらの発電所は主に木質ペレットを燃料として使用し、運営者は24年中から試運転用の燃料調達やスポット購入枠分の買い付けに動くなど、買い気が高まっている。 PKSは、2025年のターム商談においてインドネシア積みの買い気が強まっている一方、サプライヤーの多くは在庫の販売先にめどを付け、売唱えを切り上げている。ただ、24年中にスポット相場が大きく落ち込んでいたことから、発電事業者の買いアイデアは低いままとなっており、商社サイドの希望価格での妥結は難しいもよう。 ペレット、PKSとも共通するのは、新規発電所の立ち上げが必ずしも相場の強材料とはなりえない点だ。市場関係者のなかには、これらの発電所が予定どおり運転開始しなければ、大量の浮遊玉が生じる可能性があり、スポット相場を押し下げる可能性もあると懸念している。2025年の相場動向は、新規バイオマス発電所がいかに立ち上がるか、その進捗を見極める必要があるようだ。 表: 2025年に立ち上げ予定の主な大型バイオマス発電所
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