バイオ混合率最大30%のVLSFO価格は、ロッテルダム渡しで681.00~684.00ドル、バイオ混合率最大24%のVLSFO価格は、シンガポール渡しで656.00~659.00ドルといずれも先週から下落した。このところの原油安を反映した。市況連動相場の商いでは、前者がFOBロッテルダム0.5%S重油市況(バージ)に対し199~202ドルのプレミアム、後者がシンガポール0.5%S重油市況比で119~122ドルのプレミアムで取引されているようだ。欧州連合域内排出量取引制度(EUA)では、二酸化炭素(CO2)の先物価格が29日現在、トンあたり67ユーロ台後半で推移している。
FuelEU Maritimeの導入を前に、ロッテルダムなど北西欧州の港で、B30-HSFOの需要が強まっている。燃料油にも脱炭素化の動きが台頭しており、多くの売り手が既存燃料の在庫を減らし、バイオバンカー在庫を増やしている。この結果、HSFO価格が著しく上昇し、B30-HSFO価格も港によって高止まりしているようだ。
廃食油は潤沢な供給を受け、相場は上昇していない。24年7月ごろまで、中国出しのUCOを英国で積み替え、欧州に持ち込む動きが盛んだった。英国は欧州議会によるアンチダンピング措置の関税を含まないことから、夏ごろまで安価な廃食油の調達ができたようだ。ただ、8月以降、SAFを除き英国も中国産のバイオディーゼルに対しアンチダンピングの調査対象を広げたため、一部の欧州の買い手は中国産を避け、10月以降は割高であってもマレーシアやインドネシア産の輸入を増やす見通しという。
欧州では、再生可能エネルギー指令(REDⅢ)の一環で、輸送用にバイオ燃料や再生可能な基材をベースとした燃料の導入を進める。2030年までに最低42.5%に引き上げ、最終的に45%達成を目指す。航空、海運、陸上の運輸部門で、温室効果ガスを14.5%削減、または再生可能エネルギーの使用割合を全体で29%に設定している。これを背景に、25年以降フランス、ドイツ、スペイン、イタリアでHVO製造が増える見通しで、一段と廃食油需要が伸びるとの見方も強い。これを受けてEV導入が遅れる一方、e-fuelsやHVOの使用を進める動きが出ているという。EVインフラの整備が欧州で十分ではないため、ドイツなどの自動車メーカーがガソリン同様の内燃機関を持つ自動車の販売を継続したいとの思惑があるという。
グレーアンモニアバンカー価格の気配値は、ロッテルダムで425.00~445.00、シンガポールで450.00~470.00ドル。グリーンアンモニアバンカーの気配値はロッテルダムで1,610.00~1,630.00ドル、シンガポールで1,670.00~1,690.00ドル程度。グレーメタノールバンカー価格の気配値は、ロッテルダムで390.00~410.00ドル、シンガポールで350.00~370.00ドル、グリーンメタノールバンカー価格の気配値はロッテルダムで1,580.00~1,600.00ドル、シンガポールで1,500.00~1,520.00ドル程度。
中国のシノペック・フュエル・オイル社はこのほど、舟山新亜造船所でマースクのコンテナ船マースク・ハリファックスに約938トンのメタノール燃料を供給したと発表した。中国は廃食油同様、世界最大のメタノール製造余地があり、今後安価なメタノールの供給が可能になるとの見通しがある。FOB中国のグリーンメタノール価格は1,200ドル程度とされる。
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