電力=12月9~13日:電力スポットは前週比で反発、中部の一部コマでスパイク
12月9~13日受け渡しの電力スポット価格24時間の週間平均は、前週比で東日本(50Hz)および西日本(60Hz)ともに反発した。全国的に寒さが強まり始めたことで、暖房需要が増加傾向となり、価格にも波及した。13日には、中部の6時~6時30分で80.00円を付けたほか、6時30分~7時にも40.00円と、極端な高値を付けた。需要が増え始める時間帯である一方、供給力が増える前の時間でもあるため、この時期は高値を付けやすい傾向にあるが、80円や40円は予想外の高値と捉える向きが多かった。市場関係者からは、「夏のときと同じように中部の一部コマでスパイクしたが、買い手による絶対買いの影響だろう」(新電力の需給担当者)、「大手の小売事業者による買い気の強さがこうした値動きの要因」(新電力の市場取引担当者)などの声が聞かれた。なお、一時的な値動きとの見方も多かった。 中国電力は、2012年1月27日から定期点検で停止中の島根原発2号機(定格出力82万kW、BWR型、島根県松江市)について、7日15時に原子炉を再起動した。12月下旬の発電機並列(再稼働)、来年1月上旬の営業運転が見込まれている。 関西電力は、大飯原発4号機(定格出力118万kW、PWR型、福井県おおい町)を14日から定期点検で停止する。定検期間はおよそ3カ月間の予定。 東西の主要エリアである東京と関西の電力スポットの24時間平均の値差を見ると、9日が2.61円、10日が4.31円、11日が5.04円、12日が2.52円、13日が6.07円の東高西低となった。
燃料相場は、前週末からLNGと石炭が下落し、原油が上昇した。 北東アジア市場のLNGスポットは、12月12日時点で期近の25年1月着品がmmBtuあたり14ドル台半ばとなり、前週末時点(12月6日)から0.50ドル程度の下落となった。欧州の天然ガス相場が軟調に推移したため、北東アジア市場のLNG相場もつれ安となった。さらに、北東アジア市場では売り物が潤沢なことも、相場の弱材料となった。日本など北東アジアでは寒さが強まってきたものの、大手電力会社は長期契約玉やすでに調達済みのスポット玉で供給を賄えるとされ、足元の買い気は限定的となっている。経済産業省が11日に公表した、12月8日時点の発電用LNGの在庫は211万トンとなり、前週から21万トン増えた。前年12月末時点の270万トン、過去5年平均の216万トンをいずれも下回った。 豪ニューキャッスル積みの一般炭相場は、12日時点で24年12月積みがトンあたり132ドル台半ばとなり、前週末から1ドル弱の下落となった。ガス価格の下落に連動した。 原油相場は、12月13日午後の時点でWTIの25年1月物がバレルあたり70ドル超、ブレントの25年2月物が73ドル台半ばの水準で推移。前週末から、WTIが3ドル弱、ブレントが2.5ドル程度の上昇となった。中東情勢の不透明感や中国経済の回復が見込まれたこと、さらに欧州連合(EU)によるロシアへの制裁強化などが強材料となった。ただ、国際エネルギー機関(IEA)が12日に公表した月報で、25年に原油供給が需要を上回るとの見通しを示したことで、先行きの需給の緩みが意識され、原油先物は上げ幅が削られた。
週を通じた実勢高値は、13日に中部で付けた80.00円となった。一方、実勢安値は0.01円となり、9日に九州で、10~11日に四国でそれぞれ付けた。 エリア別に24時間の週間平均を見ると、北海道が前週比0.68円安の11.74円、東北が同1.56円安の10.67円、東京が同2.57円高の16.36円、中部が同2.64円高の16.43円、北陸、関西、中国が同0.12円高の12.25円、四国が同0.90円高の10.50円、九州が同0.10円高の10.91円だった。 売買入札量の週間平均は、売り札が前週比4.0%減の11億6,715万1,820kWh、買い札が同3.0%増の10億145万4,390kWhとなった。約定量の週間平均は、同0.3%増の7億8,354万8,050kWhだった。
12月9~13日の9エリアの電力需要は、132億4,923万6,000kWhとなり、前週12月2~6日の119億9,304万kWhから10.5%増加した。なお、曜日を合わせた前年の12月11~15日の需要実績は121億621万5,000kWhで、増加率は9.4%となった。
12月9~13日の東京商品取引所(TOCOM)の約定結果は下記表のとおり。
12月9~13日の欧州エネルギー取引所(EEX)の約定結果は下記表のとおり。332件・2,162MWの約定があった。
12月第3週の電力スポットは、第2週から大きな変化はないとみられる。最高気温は、九州から関東で11~14度程度と第2週から大きな変化はない見通し。一定の暖房需要が見込まれるが、火力発電の供給力は一段と厚みが増す見通しで、価格の上値を抑える要因となりそう。ただ、引き続き朝の需要が増え始める6~8時は、需給が引き締まり傾向になるとみられ、各エリアで高値を付ける動きになるとみられる。13日の6時台に中部で付けた過度な価格上昇を予想する声は皆無だが、東京や中部では連日で20円以上を付ける動きとなりそう。
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