電力=12月16~20日:電力スポットは東西で小幅続伸、エリア別ではまちまち
12月16~20日受け渡しの電力スポット価格24時間の週間平均は、前週比で東日本(50Hz)および西日本(60Hz)ともに小幅続伸したが、エリア別ではまちまちとなった。寒さが強まる週となったものの、潤沢な供給力を背景に価格の上値は限定的だった。エリアによって値動きにバラツキが生じたが、その主な要因は市場分断の増減。東日本3エリアでみると、北海道と東北は大幅高となったが、東京は下落しており、これは東北東京間の分断減少が影響。前週の9~13日は209コマの分断だったが、16~20日はわずか25コマだった。また、西日本6エリアでも中部と四国は下落したが、北陸、関西、中国、九州は上昇した。中部の下落は中部関西間の分断減少、四国の下落は中国四国間の分断増加が要因となった。中部関西間は9~13日が193コマ、16~20日が121コマとなり、中国四国間は9~13日が121コマ、16~20日が175コマだった。 東西の主要エリアである東京と関西の電力スポットの24時間平均の値差を見ると、16日が2.48円、17日が2.75円、18日が2.14円、19日が0.44円、20日が0.66円の東高西低となった。
燃料相場は、前週末からLNG、石炭、原油のいずれも下落した。 北東アジア市場のLNGスポットは、12月19日時点で期近の25年2月着品がmmBtuあたり13ドル程度となり、前週末時点(12月13日)から0.85ドル程度の下落となった。欧州の天然ガス相場が一段と値を崩したため、北東アジア市場のLNG相場もつれ安となった。さらに、北東アジア市場の需給緩和が解消されないことも、相場の弱材料となった。経済産業省が18日に公表した、12月15日時点の発電用LNGの在庫は224万トンとなり、前週から12万トン増えた。前年12月末時点の270万トンを下回ったが、過去5年平均の216万トンを上回った。 豪ニューキャッスル積みの一般炭相場は、19日時点で25年1月積みがトンあたり127ドル台後半となり、前週末から3ドル程度の下落となった。ガス価格の下落を映した。 原油相場は、12月20日午後の時点でWTIの25年1月物がバレルあたり69ドル超、ブレントの25年2月物が72ドル台半ばの水準で推移。前週末から、WTIおよびブレントともに2ドル超の下落となった。利益確定の売りや、中国や米国の景気に対する懸念が弱材料となった。
週を通じた実勢高値は、20日に中部で付けた29.25円となった。一方、実勢安値は0.01円となり、16日と19日に四国で付けた。 エリア別に24時間の週間平均を見ると、北海道が前週比3.25円高の14.99円、東北が同3.98円高の14.65円、東京が同1.47円安の14.89円、中部が同1.48円安の14.95円、北陸、関西、中国が同0.94円高の13.19円、四国が同1.26円安の9.24円、九州が同1.06円高の11.97円だった。 売買入札量の週間平均は、売り札が前週比2.2%増の11億9,334万1,590kWh、買い札が同3.3%増の10億3,433万7,700kWhとなった。約定量の週間平均は、同3.8%増の8億1,349万1,910kWhだった。
12月16~20日の9エリアの電力需要は、137億7,501万3,000kWhとなり、前週12月9~13日の132億4,923万6,000kWhから4.0%増加した。なお、曜日を合わせた前年の12月18~22日の需要実績は140億1,521万4,000kWhで、減少率は1.7%となった。
12月16~20日の東京商品取引所(TOCOM)の約定結果は下記表のとおり。
12月16~20日の欧州エネルギー取引所(EEX)の約定結果は下記表のとおり。293件・1,911MWの約定があった。
12月第4週の電力スポットは、上値の重い展開が続くとみられる。冬の寒さが続く見通しだが、週半ばにはいったん寒さが緩むほか、太平側中心に引き続き晴れ間の日が多くなる見通しで、気象動向は第3週に比べ弱材料となりそう。さらに、欧米ではクリスマス休暇に入るため、海外の燃料市場は動意に欠くとみられるほか、国内でも電力先物市場中心に海外プレーヤーの影響が大きいため、第4週の先物市場も低調になるとみられ、スポット市場もその影響を受けそう。さらに、発電設備のトラブルなどがない限り、安定的な供給力が価格上昇を抑える材料になるとみられる。
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