アジア石油製品=1月6~10日:軽油が上昇、中国積み少なく
ガソリン ノンオキシー品の市況が下落 北東アジア積みガソリン(MR船型)の市況連動相場は前日から下落した。北半球で冬場の不需要期を迎えている一方、供給に潤沢感が強まっている。シンガポールでは在庫が高止まりし、トレーダー筋の売り気が積極的なようだ。また、米国でもガソリンの在庫が積み上がり、アジア品の買い気が乏しい状況。北東アジアでは台湾のフォルモサ石油化学(FPCC)が入札を通じて2月中旬積みの92RONガソリン50万バレルを販売した。台湾中油(CPC)も2月上旬積みとして95RONガソリンのMR船型を販売しているという。日本でも在庫が積み上がり、輸出余力が高まっている。ENEOSおよび出光興産とも2月積みとしてそれぞれMR船型2~3カーゴの販売余力があるもよう。
ナフサ 期先にかけて日本の需要減の観測 2月後半日本着オープンスペック・ナフサの市況連動相場は前日から横ばい。ただ、期先にかけて日本勢の需要が弱まるとの見方が示された。日本の多くの企業は3月に年度末を迎えるため、石化製品の在庫を減らそうとすると見込まれる。また、2月以降に誘導品設備の定期修理を控える石化メーカーもあるようで、エチレン在庫の消費減とナフサクラッカーの稼働率低下が予想されると聞かれた。 複数の市場関係者によると、日本1社は1月上旬から下旬にかけて、千葉で所有しているナフサクラッカーを停止させ、修繕作業に当たるようだ、との情報が寄せられた。設備の不具合が背景という。同社は国内の石化メーカーに対し、エチレンの買い気を示していたと伝えられた。市場関係者は「国内にてエチレンを千葉まで海上輸送することも考えられ、内航船が逼迫しそうだ」と指摘した。 中国石油化工(シノペック)グループ傘下の鎮海製油化学の製油所で7日、火災が発生した(マーケットニュース欄参照)。新たに拡張され、5日に試運転を開始したばかりの第5常圧蒸留装置が火元という。なお、石化製品の市況への影響はほとんどないとの見方が優勢。
中間留分 軽油は上昇、中国積み少なく 北東アジア積みジェット燃料(MR船型)の市況連動相場は前週から切り上がった。中国からの2月積み品の売りも限定的ななか、買いを急ぐ動きが見られた。台湾のフォルモサ石油化学(FPCC)が入札を通して2月3~7日積みの30万バレルを販売した。この製品は米国向けの高引火点品として販売されており、一般品よりもやや割高な水準で成約に至った。足元はわずかながらアジアから米西海岸向けのアービトラージも拡大しており、同地域向けにトレーダー1社が調達を進めた。 北東アジア積み0.001%S軽油(MR船型)の市況連動相場は上昇した。中国積みカーゴの少なさが強気材料との見方が示された。台湾のフォルモサ石油化学(FPCC)は2月中旬積み70万バレル2カーゴを販売した。中国積み品の数量が伸びず、北東アジアで供給引き締まり感が生じているという。中国の石油会社はジェット燃料の販売を優先しているようで、1月の軽油の輸出量は多くとも30万トン程度にとどまるとの予測もある。
重油 域外品の増加観測でアジアのLSFO市況が軟化 韓国積み0.5%S重油(MR船型)の市況連動相場は軟化した。需給緩和感の台頭が弱材料となった。市場関係者によると、域外からシンガポールを中心としたアジア市場に低硫黄重油(LSFO)の流入が増えるとの見方が台頭している。背景の一つとして、長らく不可抗力条項(フォースマジュール)が発動されていたスーダンのダーブレンド原油について、近く輸出が再開される見通しとなっていることが挙げられる。同原油はLSFOの得率が高い。域外で精製されたLSFOがシンガポールなどに持ち込まれる可能性があり、アジア域内のLSFO市況に下押し圧力が強まっているという。
マーケットニュース 中国石油化工(シノペック)によると、7日午後9時55分ごろ、浙江省にある同社傘下の鎮海石化の第5常圧蒸留装置から出火した。8日午前零時前に鎮火したもよう。いまのところ死傷者は報告されていない。 出火した新設の第5トッパーは、昨年12月に原油を投入し、1月5日に運転を開始したばかりで、製品の精製には至っていなかったという。今回の事故を受けて生産計画が延期となる見通しだ。
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