電力=2月10~14日:電力スポットは西日本が前週から下落、気象動向が弱材料に
2月10~14日受け渡しの電力スポット価格24時間の週間平均は、東日本(50Hz)がほぼ前週並みだったが、西日本(60Hz)は前週から下落した。西日本では、前週に比べて晴れ間の日が多くなったほか、寒さも緩んだことで価格の上値も抑えられた。とくに九州では、前週に福岡や九州南部で降雪に見舞われた日もあったが、11日以降は最高気温が2けたの日も多くなるなど日中時間帯(8~16時)の需給緩和感が強まり、連日で0.01円を付けた。 東西の主要エリアである東京と関西の電力スポットの24時間平均の値差を見ると、10日が0.20円、11日が0.02円の西高東低だったが、12日以降は東高西低となり、12日が0.06円、13日が1.25円、14日が0.59円だった。なお、足元では東西のスプレッド取引が活発で、3月は3円未満の東高西低で取引されているもよう。
2月第2週の燃料相場は下記のとおり。 北東アジア市場のLNGスポットは第1週から急伸。2月13日時点で期近の25年3月着品がmmBtuあたり16ドル台半ばとなった。前週末時点(2月7日)から1.50ドル程度の上昇。欧州の天然ガス相場が急伸し、北東アジア市場のLNG相場もつれ高となった。ベンチマークとなっている蘭TTF天然ガス相場は、セトルメントプライスで23年4月以来となるトンあたり58ユーロまで上昇した。欧州では寒波が強まっているほか、米国による関税政策も強材料となった。経済産業省が2月12日に公表した、2月9日時点の発電用LNGの在庫は215万トンとなり、前週から26万トンの取り崩しとなった。前年2月末時点および過去5年平均の218万トンを下回った。 豪ニューキャッスル積みの一般炭相場は、2月13日時点の25年2月積みがトンあたり104ドル台前半となった。前週末時点から3ドル近い下落となった。需要が鈍化しており、相場は一段安となった。 原油相場は、2月14日午前時点でWTIの25年3月物がバレルあたり71ドル台半ば、ブレントの25年4月物が75ドル台前半の水準。前週末時点から、WTIが0.5ドル程度、ブレントが1ドル弱それぞれ上昇した。強弱材料が入り混じる週となったが、値ごろ感からの買いが先行したことやイランやロシアの原油供給が減少するとの懸念が強材料となった。ただ、米国とロシアによるウクライナ戦争の停戦交渉が始まる見通しとなったことや、米国の原油在庫が市場予想を上回る積み上げとなったことなどが弱材料となり、相場の上値は限定的だった。
週を通じた実勢高値は、12日に四国を除く西日本5エリアで付けた30.00円となった。一方、実勢安値は0.01円となり、11日と12日に四国と九州で、13日と14日に九州で付けた。 エリア別の24時間の週間平均は、北海道が前週比で0.12円高の14.54円、東北が同0.02円高の14.57円、東京が同0.04円高の15.17円、中部が同0.49円安の15.30円、北陸と関西が同0.64円安の14.83円、中国が同0.66円安の14.81円、四国が同0.44円高の10.64円、九州が同1.78円安の13.10円だった。 売買入札量の週間平均は、売り札が前週から6.6%増の12億6,576万7,060kWh、買い札が同3.3%減の11億325万4,270kWhとなった。約定量の週間平均は、買い気の低下を映し同4.4%減の8億3,498万8,620kWhにとどまった。
2月10~14日の9エリアの電力需要は、141億6,879万7,000kWhとなり、前週2月3~7日の149億1,419万6,000kWhから5.0%減少した。曜日を合わせた前年の2月12~16日の需要実績は123億9,092万6,000kWhで、増加率は14.6%となった。
2月10~14日の東京商品取引所(TOCOM)の約定は下記表のとおり。
2月10~14日の欧州エネルギー取引所(EEX)の約定結果は下記表のとおり。372件、2,366MW・347万9,400MWhの約定があった。
2月第3週の電力スポットは、第2週に比べて東西ともに上昇する見込み。全国的に冷え込みが強まる見通しで、暖房需要の増加が価格を押し上げる材料となりそう。とくに18日以降は、全国的に最高気温が10度未満にとどまり、東京では最低気温が零下になる日もあるとみられる。なお、天気は北日本や北陸を除いて晴れ間の日が多くなる予報のため、日中(8~16時)とそれ以外の時間帯の価格差が大きくなるとみられ、太陽光比率が高い西日本でその動きが顕著となりそう。一部の市場関係者からは、「高値で30円程度まで上昇する日もあるとみている。ベース価格は東西で15円を超える日が続くのではないか」(新電力の需給担当者)との見方も示されている。
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