原油・コンデンセート=2月17~21日:アッパーザクムの供給余剰感台頭
アブダビ産原油の4月積み商いでは、アッパーザクム原油に対する供給余剰感が強まった。主力となる中国の需要家の多くが、ブラジル産やカナダ産を中心とした域外産原油の調達を優先し、アッパーザクム原油の買い付けを控えている。サウジアラビア産をはじめとした一部中東産原油の長期契約による引き取りを増やしている中国企業も少なくないため、アッパーザクム原油をはじめとした中東産中質油種に対するスポット需要が全体的に低迷した。中東産中質油種の需要が細るなか、中国石油天然気(ペトロチャイナ)が、カタール産でアッパーザクム原油と競合する4月積みアルシャヒーン原油を複数カーゴ購入したことを受け「アッパーザクム原油の需要低迷は長期化しそうだ」(トレーダー)との声が聞かれる商況となっている。
【アフリカ/欧州/ロシア/アメリカ】 アフリカ産原油の商いでは、中国系のセニングが3月積みのニジェール産の重質スウィート原油メレク原油を計2カーゴ販売した。このうち、上旬積みのカーゴは、英BPが購入した。価格はいずれもDTDブレントに対し1ドル前後のディスカウントだった。3月積みのメレク原油は、セニングに計3カーゴの割り当てがあり、下旬積みの1カーゴは未消化と伝えられた。メレク原油は重油のブレンディング用の原油として、評価を高めるプレーヤーが多く、このところシンガポールなどのアジア向けのカーゴの流入が増加している。
【南方】 ベトナム産の4月積みスツデン原油の市況連動相場は、市場のセンチメントの弱さを受け、DTDブレント指標に対して3.20ドル前後のプレミアムへと軟化した。域外産としてスツデン原油の競合となりつつある、米国産WTIミッドランド原油のアジア着の相場が下落に転じるとともに、4~5月着として大量のカーゴが東南アジアを含むアジア向けに販売されていることも重なり、4月積みスツデン原油の評価を引き下げる需要家が増えた。日本のエネルギー企業は、スツデン原油について「品質面で軽質化が進んでいることから、WTIミッドランド原油が一つの競合油種となりつつある」と伝えている。ベトナム国営PVオイルが14日締め切りで実施した4月21~27日積みのスツデン原油20万バレルを対象とした販売入札は、ベトナムのビンソン石油精製化学公社(BSR)が、DTDブレント指標に対して3ドル台のプレミアムで落札した。
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