電力=2月24~28日:電力スポットは前週から反落、高めの気温で需給に緩み
2月24~28日受け渡しの電力スポット価格24時間の週間平均は、東日本(50Hz)および西日本(60Hz)ともに前週から反落した。24日が祝日だったことに加え、広い地域で気温が高めに推移したため、暖房需要が低下した。関東以西の最高気温は15度を超えるなど、3月下旬並みの気温となる地域もあった。このため、週を通じて売りが買いを大幅に上回る日が続き、価格の下押し圧力も強まった。ただ、西日本では曇天の日が続き、太陽光発電が限定的となったため、昼間価格が西高東低となる日が多かった。 東西の主要エリアである東京と関西の電力スポットの24時間平均の値差を見ると、24日が0.64円、25日が2.19円、26日が0.34円、28日が0.02円の西高東低となり、27日が0.34円の東高西低だった。
2月最終週の燃料相場は下記のとおり。 北東アジア市場のLNGスポットは、第3週から急落した。2月27日時点で期近の25年4月着品がmmBtuあたり13ドルを割り込んだ。期近物が13ドルを割り込んだのは昨年12月中旬以来。前週末時点(2月21日)から1.5ドル近い下落となった。欧州の天然ガス相場が急落し、北東アジア市場のLNG相場も連動して下げた。欧州では、在庫積み上げの基準が緩和される可能性が浮上したことで、在庫積み上げ需要が後退し、相場を圧迫する材料となった。経済産業省が2月26日に公表した、2月23日時点の発電用LNGの在庫は194万トンとなり、前週から7万トンの取り崩しとなった。前年2月末時点および過去5年平均の218万トンを下回った。 豪ニューキャッスル積みの一般炭相場は、2月27日時点の25年2月積みがトンあたり102ドル台半ばとなった。前週末時点から0.5ドル程度の下落。ガス価格の下落に連動したほか、「需要そのものが鈍化しており、足元では採算ラインとされる100ドル割れも視野に入ってきた」(新電力の市場取引担当マネージャー)。 原油相場は、2月28日午前時点でWTIの25年4月物がバレルあたり70ドル台前半、ブレントの25年4月物が73ドル台後半の水準。前週末時点から、WTIおよびブレントともに0.5ドル程度の下落となった。米国の景気後退観測や、ロシア産原油の供給増加見通しが弱材料となった。ただ、米国によるカナダとメキシコに対する課税措置が予定どおり3月4日に発動される見通しとなったため、両国から米国向けの原油輸入量が減少するとの見方が強材料となり、相場の下げ幅は抑えられた。両国からの輸入量は、米国全体の輸入量のおよそ7割を占める。
週を通じた実勢高値は、25日に中部で付けた40.00円となった。一方、実勢安値は24~27日に九州で付けた0.01円だった。 エリア別の24時間の週間平均は、北海道が前週比で4.14円安の12.54円、東北が同4.16円安の12.52円、東京が同4.03円安の12.67円、中部が同3.18円安の13.57円、北陸と関西が同2.98円安の13.25円、中国が同2.81円安の13.25円、四国が同2.79円高の13.06円、九州が同1.39円安の11.93円だった。 売買入札量の週間平均は、売り札が前週から13.3%増の13億9,764万3,460kWh、買い札が同8.2%減の10億4,842万5,750kWhとなった。約定量の週間平均は、同0.8%減の8億4,320万8,140kWhだった。
2月24~28日の9エリアの電力需要は、130億9,453万4,000kWhとなり、前週2月17~21日の143億936万8,000kWhから8.5%減少した。曜日を合わせた前年の2月26日~3月1日の需要実績は131億4,769万4,000kWhで、減少率は0.4%となった。
2月24~28日の東京商品取引所(TOCOM)の約定は下記表のとおり。
2月24~28日の欧州エネルギー取引所(EEX)の約定結果は下記表のとおり。413件・2,812MWの約定があった。
3月第1週の電力スポットは、2月最終週の価格を上回りそう。定検点検などで停止する火力発電が増えるため、予備力の低下が強材料になるとみられる。また、気象面でも週半ばまでは全国的に曇天のため、太陽光発電が期待できないほか、4日は近畿から関東にかけて気温が急低下し、冬の寒さに戻るため、暖房需要が強まるとみられ、価格上昇の材料となりそう。なお、週末に向けて天気が回復するため、太陽光の増加が昼間価格を圧迫する材料となりそうだが、気温は低めで推移する地域が多いため、日中と夕方の価格差は大きくなるとみられる。一部の市場関係者からは、「3月第1週の価格はベースで東西ともに13~15円のレンジで推移するとみているが、四国や九州は太陽光の影響でこの水準から2~3円安くなるのでは」(新電力の市場取引担当者)との見方が示されている。
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