電力=3月3~7日:西日本が大幅続伸、45円など今年の最高値を更新
3月3~5日受け渡しの電力スポット価格24時間の週間平均は、東日本(50Hz)および西日本(60Hz)ともに前週から反発。とくに西日本では、6~7日に今年の最高値となる45円台を付けるなど、前週からの上げ幅が大きくなった。西日本の高値については「想定外の水準」との声が多く、寒さが予想されていたなかでも上振れしすぎとの見方が多かった。市場関係者からは「特定の同一プレーヤーが買い値を引き上げていると思う」(新電力の需給担当者)、「まだ朝晩は冷え込むし、火力発電の定検も増えてきているが、そこまで需給が引き締まっているわけではないので理解に苦しむ」(新電力の市場取引担当者)、「売買入札をみても、売りが極端に減っているわけではなく、買いも極端に強まっているわけでもないので、おそらく買い手の入札価格に問題があるのではないか」(旧一電の需給担当者)などの声が聞かれた。また、「今後も西日本については、不需要期における価格のブレが大きくなるかもしれないので注意していきたい」(新電力の市場取引担当マネージャー)との声も聞かれており、不需要期入りで停止する設備が今後も増えるため、予備力の低下に伴う価格上昇を警戒する向きも多くみられた。 東西の主要エリアである東京と関西の電力スポットの24時間平均の値差を見ると、3日が2.26円、4日が9.64円、5日が2.21円、6日が3.99円、7日が2.75円の大幅な西高東低となった。
3月第1週の燃料相場は下記のとおり。 北東アジア市場のLNGスポットは、2月最終週から続落した。3月6日時点で期近の25年4月着品がmmBtuあたり13ドルとなり、前週末時点(2月28日)から0.8ドルの下落となった。欧州の天然ガス相場が下落したことを映し、北東アジア市場のLNG相場もつれ安となった。また、北東アジア市場の需要家による買い気が引き続き鈍いことも、相場の上値を抑える材料となった。経済産業省が3月5日に公表した、3月2日時点の発電用LNGの在庫は197万トンとなり、前週から4万トン増えた。前年2月末時点および過去5年平均の218万トンを下回った。 豪ニューキャッスル積みの一般炭相場は、3月6日時点の25年3月積みがトンあたり104ドル台後半となった。前週末時点から5ドル超の上昇。2月28日の相場で採算ラインとされる100ドルを割り込んだものの、その後は割安感から買いの動きに支えられ上昇した。 原油相場は、3月7日午後時点でWTIの25年4月物がバレルあたり66ドル台半ば、ブレントの25年5月物が69ドル台半ばの水準。前週末時点から、WTIおよびブレントともに3ドルを超える下落となった。石油輸出国機構(OPEC)と非OPECで構成される「OPECプラス」が現行の計画どおり4月から段階的な増産を開始すると決めたことや、米国の関税政策による景気後退懸念、米国の原油在庫が大幅に増えたことなどが弱材料となった。
週を通じた実勢高値は45.01円となり、6日に中部、北陸、関西、中国の4エリアで、7日に中部、北陸、関西、中国、九州の5エリアでそれぞれ付けた。一方、実勢安値は7日に九州で付けた0.01円だった。 エリア別の24時間の週間平均は、北海道が前週比で2.42円高の14.96円、東北が同2.49円高の15.01円、東京が同2.48円高の15.15円、中部が同5.65円高の19.22円、北陸と関西が同6.05円高の19.30円、中国が同5.88円高の19.13円、四国が同3.07円高の16.13円、九州が同3.12円高の15.05円だった。 売買入札量の週間平均は、売り札が前週から17.2%減の11億5,745万8,840kWh、買い札が同2.4%増の10億7,399万6,360kWhとなった。約定量の週間平均は、同3.8%減の8億1,149万1,290kWhだった。
3月3~7日の9エリアの電力需要は、134億6,163万6,000kWhとなり、前週2月24~28日の130億9,453万4,000kWhから2.8%増加した。曜日を合わせた前年の3月4~8日の需要実績は133億7,424万3,000kWhで、増加率は0.7%となった。
3月3~7日の東京商品取引所(TOCOM)の約定は下記表のとおり。
3月3~7日の欧州エネルギー取引所(EEX)の約定結果は下記表のとおり。425件・3,174MWの約定があった。
3月第2週の電力スポットは、第1週の価格から下落する可能性が高い。第1週は、関東でも季節外れの降雪に見舞われるなど全国的に暖房需要が強まり、価格も底上げの動きが強まったものの、第2週は春の陽気が予想され、価格の上値も抑えられるとみられる。さらに、直近の燃料相場が軟調に推移していることも、弱材料となりそうだ。ただ、定検点検などで停止する火力発電が増えるため、予備力は低下傾向となり、発電設備のトラブルや天候の急変などが発生した場合、価格は上振れる可能性もある。第2週の価格動向について市場関係者からは、「気象動向などから東西ともにベースは15円に満たないだろう。週前半は天気が変わりやすいが、週後半は晴れ間が予想されているため、太陽光の増加により週後半に向けて価格は軟調に推移するとみている」(新電力の需給担当者)との見方が示されている。
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