アジア石油製品=3月10~14日:ジェット燃料、商社の成田向け輸入が減少
ガソリン ノンオキシー品の上値重く、「シンガポールの在庫高水準」 北東アジア積みのノンオキシー品カーゴの市況は横ばい。ただし需給の緩みが意識され、相場の上値は重たい。アジアから米国方面へのアービトラージが閉じており、カーゴの向け先が限られる。市場関係者は「シンガポールの在庫はやや減少したが、それでも高水準に変わりない」と指摘した。 台湾中油(CPC)は11日、4月上旬積みとしてノンオキシー品の95RONガソリン(MR船型)を販売した。価格はFOBベースで同市況に対し、3.00ドル弱のプレミアムだった。同社は2月12日に、3月上旬積み95RONガソリンをFOBベースで同3.00ドル台前半のプレミアムで販売済み。1カ月でプレミアムは抑制された格好。 東南アジアでは、ベトナムから3月下旬積み品の売りが見られた。ベトナムの内需が弱く、在庫を輸出に振り分けたとみられている。主要な輸入国のインドネシアからの買い気も弱い。
ナフサ 相場上昇、万華化学が4月着の買い入札実施 4月後半日本着オープンスペック・ナフサの市況連動相場は上昇した。中国の新規ナフサクラッカー向けの需要が続く。製油所の定期修理により供給が絞られているとの声も上がった。 中国では万華化学(Wanhua Chemical)が4月10~30日着品の買い付け入札を実施した。数量はMR船型~LR1船型。市場関係者は「万華化学の買い気が強い。購入数量を今後増やしていくとの情報もある」と伝えた。 市場関係者によると、万華化学をはじめ、中国の新規ナフサクラッカーは山東省の独立系製油所からナフサの供給を受けているが、足元で独立系製油所の稼働率が低く、供給引き締まり感がある。このため不足分を輸入で補っているようだ。 期先にかけて、欧米からのアーブが増加に転じるかどうかが注目点として挙げられた。トレーダーは「アジアの相場が上がって域外との格差が開けば、必然的に欧米からカーゴが飛んでくる。そうなれば、需給逼迫は後退する」とした。 輸送面では、アラブ首長国連邦(UAE)のフジャイラでバースが混雑しており、カーゴの船積みが遅れているという。ただ、市場関係者によると、「アジアの需要家はカーゴの遅れによる代替需要を示していない」といい、数カ月前と比べて需要はやや鈍っているとの見方もある。
中間留分 ジェット燃料、3月中国積み過多で4月積みの買い気弱く 北東アジア積みジェット燃料(MR船型)の市況連動相場は変わらず。新規スポット販売の動きが乏しい。3月中国積み品の供給量が多く、特に4月前半品は他の北東アジア積み品への買い気が浮上しにくいという。 日本では出光興産が4月以降に複数製油所で大型の定期修理を実施するため、日本向けとして北東アジア積み品を調達する可能性が指摘された。日本向けターム供給についても検討が進められているとの情報もある。 日本からの商社によるジェット燃料の引き合いは減少傾向。商社はこれまで、いずれも韓国石油会社より成田空港のタンク向けにSR船型でジェット燃料の輸入を進めてきた。しかし、足元はコスモ石油やENEOSが成田空港のタンク向けを中心に供給を強化。特にコスモ石油は今年の定期修理が秋季の堺製油所(日量10万バレル)のみとあって、当面は精製量が潤沢だ。国内でのジェット燃料販売を強化しており、これにより特に成田空港ではジェット燃料の需給逼迫感が後退している。商社の韓国積み輸入の採算性が低下しており、輸入を手控えざるを得ない状況となっている。 北東アジア積み0.001%S軽油(MR船型)の市況連動相場は下落。先物市場はバックワーデーションを形成しており、先安観からディスカウントが拡大した。
重油 北東アジアで相場の強基調続く 韓国積み3.5%S重油(MR船型、380cst)の市況連動相場はもち合った。ただし、供給引き締まり感を受けて、北東アジアの相場は依然として強基調が続いている。一部の韓国の売り手はこのところ、低硫黄品に比べて採算性が高まっている高硫黄品の商談に注力しつつあるようだ。高硫黄品の生産を抑えている石油会社についても、海外調達を増やすことで、販売を強化する可能性があるようだ。 クウェート石油(KPC)が11日締めで実施した、3月21~26日積み6万トンの2.5%S重油の販売入札は、価格がFOBベースで中東市況に対し15~20ドルのプレミアムと伝えられた。シンガポール市況(380cst)に換算すると小幅プレミアムに相当するようだ。
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