第270回 ~電力先物取引って何? ~の巻(2025年3月19日)
最近、我が家も流行りのオール電化にしたけど、とにかく便利で毎日の生活が快適ね~そういえば、日本でも電力先物が活発に取引されている、って聞いたけど、うさりんは何か知ってる?
予測が困難な将来の電力価格をあらかじめ固定し、変動リスクに備える(ヘッジする)のが先物取引の役割さ。日本の電力先物は、主に欧州エネルギー取引所(EEX)や東京商品取引所(TOCOM)に上場しているんだ。
あれっ?欧州の企業が日本の電力先物市場を運営しているの?
そうなんだ。EEXは欧州の先物市場での実績が豊富で、2020年5月に満を持して日本市場に参入したんだ。EEXの先物市場には、日本の企業だけでなく、欧州を中心に多くの海外企業が取引に参加しているよ。
へ~初めて知ったわ。
日本の電力先物市場はもの凄いペースで成長していて、取引量は毎年倍々ゲームのペースで増えているんだ。
ところで、電力先物にはどんな種類があるの?
主要需要地である東京と関西の受け渡しを対象に、ベースロード(24時間)とピークロード(平日8~20時)の2種類があるよ。
そんなに多くないのね。
いやいや、特筆すべきは受け渡し期間の種類が充実していることだね。
え、どういうこと?
電力を作る人、電力を使う人、電力を貯めておく人など、さまざまな立場の人がいるから、そうした多くのヘッジニーズに応えられるよう、EEXでは多種多様な商品を用意しているよ。
すごいわ~もっと聞かせて~
例えば、身近なところだと、明日の電力を売買する日次物、来週の電力を売買する週間物、週末の電力を売買する週末物、来月の電力を売買する月間物があるんだ。
まるでスーパーマーケットみたいに豊富な品揃えね。
一方、大手電力会社や大口需要家はもっと長いスパンで電力価格をヘッジする必要があるから、そういう需要家には四半期物やシーズン物といった3カ月~6カ月を対象とした商品もあるよ。長期間にわたる電力価格のヘッジが可能になることで、企業が生産計画を立てやすくなるんだ。
翌日から数年先まで、対象期間がいろいろとあるのね。
ほかにも、発電燃料のガス先物を買って、電力先物を売るといった横断的な取引を行い、発電事業による利益(マージン)を固定する企業もあるよ。
ウクライナ戦争の長期化や米トランプ政権の関税政策で、発電燃料も値上がりリスクが大きいから、電力先物の役割は重要ね!
さらに今後は、日本の会計年度(4月~翌年3月)を対象とした年度物も新たに追加される予定だよ。これまでは、欧州基準の1~12月を対象とした年間物があったけど、ほとんど取引がなかったんだ。年度物の導入は電力先物を取引したい日本勢にとって追い風となりそうだよ。
確かに、日本の会計年度に沿った商品があれば、ヘッジ取引もしやすくなるわ。
それだけじゃないんだ。電力先物オプション取引といって、電力価格が想定水準を上回ったり、下回ったりしたときに、損失を抑えるための保険みたいな商品も今年2月に導入されたよ。
本当にいろいろあるんだね。うさりん、今日はいろいろと勉強になったわ!
えっへん、どういたしまして!
電力先物の普及で、我が家の電気代も安心だわ。3月半ばになってもまだまだ寒い日が続くから、オール電化の暖房をがんがん使っても大丈夫ね!
かめりん、ちょっと待ってよ!電力先物と電気の無駄使いは話が全然違うんだから。この分だと今月の電気代はいったい何万円になることやら(泣)
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(文:狩野 )
「やさしいエネルギー講座」から出題!
EEXが運営する日本の電力先物市場は取引量が急増していますが、2024年の取引量は前年対比でどのくらい伸びたでしょうか?
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