第135回 ~電力と天気の深い関係~の巻(2019年11月20日)
うさりん、今年の冬は暖冬になるみたいだよ。
そうなんだ、かめりんは寒さに弱いから、良いニュースなんじゃない?
私にとってはね。でも暖冬になるという気象情報は、エネルギーにとっても大事だって、うさりん知ってた?
え、エネルギーに?うーん…天気が悪いと太陽光発電の発電効率が悪くなるのは知ってるけど…ほかに大事な理由ってなに?
いくつかあるけど、ひとつには、電力需給の判断に役立つんだ。たとえば暖冬だと、暖房用の電力需要の低下が見込まれるでしょ。
そうか。一般家庭だけじゃなくて、大型の商業施設やオフィスビルでも、暖房の使用量が減るものね。
その通り。夏場の冷房ほどじゃないけど、冬の暖房も大きな需要を占めているわ。
逆に厳冬になると、いっそう暖房用需要が増えるよね。供給が追い付きそうにない場合は、どうやって対処するのかな?
まずは発電所の稼働率を上げることね。それでも難しい場合は、電力広域的運営推進機関(OCCTO)が、各電力エリア間での電力融通を指示するの。
…もう少しわかりやすく言ってほしいな…
2019年1月10日にあった実際の例で説明するね。この日、中部エリアで、当初の予想よりも天候の悪化と気温の低下が進む恐れが出てきたの。そこでOCCTOの担当者が暖房需要の急増と太陽光発電の出力減少を予見し、他地域の事業者に対して、中部エリアに電力の融通をするよう指示を出したの。こうして逼迫状況を乗り切ったのよ。
なるほど、ピンチのところにみんなで電力を分けてあげたんだね。
平たく言えば、そういうことね。
暖冬だとほかにどんな影響があると思う?
うーん…暖冬だと、雪はあまり降らなさそうだよね。
そう、それもエネルギーに関係するわ。
雪の多い地域だと、冬に降り積もった雪が春になると溶けだして、川からダムへと流れ込むの。それが水力発電の動力源になっているわけ。
あ!そうか。雪不足で水不足。それが電力不足につながるんだね。
この場合、電力事業者は水力発電以外の発電所の出力上昇を検討するでしょうね。こういう先行きの需給判断にも、電力事業者は気象情報を判断材料にしているのよ。
需給判断以外にも、豪雪、落雷や大雨といった気候変動リスクに備えるためにも、気象情報は不可欠になるわ。
最近は異常気象が多いから、気候変動リスクへの対応が求められる頻度は増えそうだね。
そうね。最近は大手一般電気事業者にとどまらず、新電力の新規参入も続いているわ。多くの事業者にとって需給判断が必要だし、気象情報は今後ますます重要になるでしょうね。
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(文:犬塚 )
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