第136回 ~無電柱化 ~の巻(2019年12月4日)
うさりん、近年、国土交通省が地上無電柱化事業を推進しているのを知っている?
え~知らない!地上無電柱化っていうことは、電柱を地面に埋めちゃうってことだよね。その割には、ちょっと見まわしただけでもあちこちに電柱が見えているけど。
電柱の数が多いものね。少しずつやっていくしかないわ。
ところで日本にはどのくらい電柱があるの?
国土交通省のホームページによると全国で約3,500万本だそう。このうち電力用が約2,300万本、通信用が約1,100万本。そして、毎年約7万本ずつ増えているわ。
地上の電柱の数が減るどころか、ますます増えているじゃないか。完全地中化には一体、何年かかるんだろう。
途方もない時間がかかりそうではあるけれど。全国の自治体が確実に工事に取り組んでいるのは確かよ。
ちなみに日本以外ではどういう状況なのかな?
他国と比べると、日本は無電柱化の後進国であることがわかるわ。
どういうこと?
例えばロンドンとパリは100%。アジアではシンガポールが100%、香港と台北も90%以上。ところが東京と大阪はわずか7%と5%よ。
1桁台なんてちょっとショックだね!それにしても、そもそもなんで無電柱化が必要なの?
無電柱化の一番の目的は、都市の防災機能を向上することよ。地震や台風など自然災害が起きたら、道路脇の電柱が倒れて道路を塞ぎ、緊急車両が通れなくなるでしょ。そうすると食料品や緊急支援物資の輸送が妨げられる。今年9月に上陸した台風15号では、千葉県内で約2,000本電柱が倒さ、送電が完全に復旧するまで10日もかかった。これは2011年の東日本大震災のときよりも時間がかかったの。
なるほどね!ずっと無電柱化の目的は、景観を良くするだけと思い込んでいたよ。
確かに都会の景観を綺麗にするのも目的の一つよ。それともう一つ、歩道を広げることにもつながるわ。道路脇に電柱が立っていると歩道が狭くなってしまうでしょ。より安全で快適な歩道空間を確保するには地上無電柱化が必要ね。
とても大事なことだね。無電柱化にはかなりの工事費がかかると思うけれど、誰が負担するの?
工事にはいろんな利権が絡んでいるのよ。地上の機器や電線などは電線管理者である電力会社が、電線共同溝は国や地方自治体が負担することになっているわ。
工事費はどれくらいかかるの?
日本は電線共同溝形式が主流で、1㎞あたり約3.5億円。欧州各国は主に直接埋設で、同約0.8億円と言われているわ。
自治体にとっては大きな負担だね。
安全を確保し、景観を保つにはそれなりの代償を払わなければならないということかしら。
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(文:方 友明)
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