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  • 第262回 ~バイオ燃料が温室効果ガスの削減に有効?~の巻
    (11/27 12:00)

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    第139回 ~シェール革命の波、これって第何波? ~の巻(2020年1月29日)

    ねぇねぇ、うさりん。東アジアのナフサクラッカーの稼働率が低下しているって聞いた?

    かめりん、ぼくの耳が長いのは伊達じゃないよ? 2019年末ごろから、アジアの石化メーカーが減産を開始しているよね。

    さすがね。石油化学の原料となるナフサと、ナフサクラッカーが主に生産しているエチレンとの価格差が縮小したことが大きな理由なのよね。

    うん。原料と製品の価格差が縮小した状態が続いて、エチレンを作っても利益が取れなくなったんだ。でも、世界経済は米中貿易摩擦などの懸念を抱えながらも、株価は絶好調みたいだけど、どうしてエチレンの採算性は低下しているのだろう?

    わたしは、価格差が縮小した理由はいろいろあると思う。ひとつには米国のシェールガスに由来する石化原料のひとつとなるエタン、さらにはエタンを利用したエチレン、ポリエチレンなどの誘導品と、あらゆる石油化学設備の建設が相次いだことを理由として挙げたいわ。

    そうだね。とくに、エチレンを原料とする代表的なプラスチックであるポリエチレンの東南アジア市況は、割安な米国品の流入により低迷している。こうした状況はしばらく続いているね。ポリエチレン価格が下落したために、アジアのポリエチレンメーカーの稼働率が低下するというのは、これまでもみられた現象だ。でも、これまでは余剰となったエチレンもアジアの誘導品メーカーが吸収してきたんだけど、今回は違ったわけだ。

    多くの石油化学製品を輸入している中国で石油精製から石油化学まで大規模な設備投資を行っていることも影響しているわね。中国では昨年、米国産のエタンやLPGを原料にしたエチレン設備が稼働を開始したし、現在は恒逸石化や浙江石化などのエチレン設備も、立ち上げ作業を続けているのよね。このあとも大型計画が目白押しね。いずれにしても、生産能力の拡大に、需要が追い付いてない可能性があるわ。

    しかも、米国では今年1月に、新しく建設された出荷設備から初めての米国産エチレンが輸出されたね。米国からの輸出量が大きく増える見込みだ。石油化学の原料の価格では、エタンは天然ガスに、ナフサは原油にそれぞれ連動する。いまのところは、エタンを原料にしたほうがエチレンは安く作ることができるから、米国から出荷されたエチレンは欧州でも、アジアでも競争力がありそう。

    2020年に入ってからも、世界中でエチレン設備が新しく稼働を開始する予定だけど、一方で石油化学製品の需要も人口の増加や、経済成長で増加し続けるわ。でも、プラごみ問題で代替品への置き換えも進みそう。引き続き、石油化学市況からは目が離せないわね。

    気になるひとは、石油化学レポートで市場動向を要チェックだね。

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    (文:北村 )
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