第148回 先物とは? ~の巻(2020年6月3日)
ちょっと何?!この布マスクの山は。
マスク不足が騒がれていたから、手作りしてネットで売ろうと思ったんだけど、作ってる間に不足感が和らいできちゃって、注文が入らないんだ。値下げするしかないかなあ。
マスクにも先物(さきもの)市場があれば良いのにね。
先物??
「現時点で決めた価格で、将来のある時期に受け渡しする取引」のことだよ。やさエネでお馴染みの石油はもちろん、貴金属、穀物、株価指数など世の中では様々な商品や金融派生商品が先物取引所でが売買されているの。例えば代表的な先物であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油は、来月受け渡しする「7月限(ぎり)」が、バレル当たり36.81ドル(6月2日時点)で取引されているわ。
いま36.81ドルで販売を決めれば、受渡しまでに原油価格が下落しても、売値は維持できるってことかな。売り手としては、収入を安定化できて安心だね。
買い手としても、将来の仕入れコストを前もって確定できるから、収支の計算が立てやすくなる。
ただ、逆もあり得るよね。原油先物を売った後に原油相場が上昇すれば、売り手としては本来もっと高く売れたはずなのに、事前に決めた安値で渡さないといけない。原油先物を買った後に価格が下がれば、必要以上の高値で引き取ることになる。
もちろんそうね。それでも先のことは分からないから、実際は原油に限らず価格変動のリスクヘッジ目的で先物を重宝する人がとても多い。
例えば原油先物取引に興味があるけど、自分は原油生産者じゃないから渡すものがない、もしくは製油所を持っていないし現物は不要という人はどうすればいいのかな。
まずは石油の当業者と同じように先物を売買した後、受渡し期日までに「反対売買による差金決済」をして取引を終えるんだ。それまでに売った量と同じ量を買う、もしくは買った量と同じ量を売ることで、先物契約が相殺されて、期日に現物を受渡しする必要がなくなる。反対売買時の価格次第で利益が期待できるから、差金決済前提で先物取引している投資家も大勢いるよ。損失が出る可能性も当然あるけど。
なるほどな~。ところで、リムWEBサイトの「記者の眼」第94回でも触れているけど、WTI原油は4月20日に史上初のマイナス価格を付けたそうだね。
投資家など先物を買っていたけど、現物を受け取れない人達が、決済日前に反対売買で売り込んだ影響だね。ただ、コロナ禍による原油需要の急減で、原油タンクの貯蔵能力が限界に近付いていたから、買い手もなかなか現れなかった。
その結果「お金を払うから引き取って下さい」となった訳だ。僕も先物取引始めようかな。先物の利ざやで、マスクの材料費を取り返すんだ!
いや、マイナス価格は極めて稀な現象だから・・・。でも、うさりんみたいに山っ気の強いタイプは、説明しても聞く耳持たないな。
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(文:西江 )
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