第149回 波力発電 ~の巻(2020年6月17日)
東京も梅雨入りして鬱陶しいけれど、その後は夏がやってくるね。毎日海水浴場に行きたいね!
夏場のサーフィンが最高の楽しみなのね。ところで海の波で発電できるのって知っている?
え?波で発電ができるの?知らなかったな~
文字どおり波力発電と言うのよ。波のエネルギーを利用した発電方法よ。
島国の日本では波力発電所をいっぱい造れそうだね。
ところがそうでもないのよ。法律や立地条件などの制約があって、海に囲まれているからといって、たくさん造れるとは限らないの。
そうか~。ところで、国内には現在、波力発電所は何カ所あるの?
実は1カ所しかないのよ。日本初の波力発電所は、2016年に岩手県久慈市の久慈港に完成したの。年間の発電量は約9万キロワットで、一般家庭の使用量に換算すると約25世帯分に相当するわ。東日本大震災の復興プロジェクトの1つとして、東京大学生産技術研究所が開発に携わっていたのよ。海外では、韓国や欧州など既に稼働してるところが多いのだけれど、日本ではまだ商業実用化してない段階よ。
波力発電はどうやって発電するの?
主に3つの方法があるわ。
1、振動水柱型
固定式で施設装置内に空気室を設け、水面の上下移動によって生じた空気室内外の圧力差によりタービンを回す方式。固定式のため台風など異常気象の対策がとりやすく、シンプルな構造なので波力発電の中で一番安全なタイプとされる。
2、越波型
海水を海岸沿いの貯水池に溜め込み、潮が引いたら貯水池と海面の高低差を利用して海に放流しタービンを回転させる方式。川のダム発電と同じ仕組み。
3、可動物体型
振動水柱型と異なり、洋上に固定されない発電装置で波の上下動きを利用し機械的エネルギーに変換して発電する方式。沖合設置となり、従来のタービン方式より効率が良いとされる。
結構いろいろ発電の方法がありますね。ところで波力発電のメリットは?
1、地球の表面は70%以上が海で占められており、資源枯渇の心配がない。
2、発電の安定性。他の自然のエネルギーと比べ悪天候に左右されないので、比較的安定した発電量が得られる。
3、面積当たりの発電効率は風力の約5倍、太陽光の20倍以上に言われる。
デメリットは?
発電装置が海水による塩害で腐食したり、海洋の付着物などの被害が予想されるわ。また、発電設備や施設を設置する前に、地元の漁業関係者と協議をしなければならないの。
他の自然エネルギーより安定性や効率が優れているのに、なぜ日本での普及率が低いんだろう?
久慈波力発電所の場合、1キロワット当たりの発電コストが60円程度と、他の自然エネルギーと比べて割高なのが問題になっているわ。
なるほど。政府が波力発電の導入目標を掲げてない理由は、やはり発電単価が高いことにあるのかな?
理由の1つとして考えられるわね。今後、新しい技術の進歩により発電コストが引き下げられることに期待しましょう。
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(文:方 友明 )
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