第151回 パーム油発電はエコ? ~の巻(2020年7月15日)
うさりん、何を食べているの?
チョコレートとポテトチップスだよ!とろける甘さとパリパリの塩辛さが口の中で混ざり合って絶妙なハーモニーを奏でるんだ。これがたまらなく好きでね!
そんな食べ方がお好みだと、この世からパーム油がなくなったら、うさりんは大変ね!
パーム油?なんだい、それは?
アブラヤシの果実から採れる植物油のことよ。聞き慣れないけど、いろんな食べ物に使われているの。チョコレートが口の中で溶けるのも、ポテトチップスのパリッとした食感が生まれるのもパーム油のおかげなのよ。
そうだったのか!パーム油、最高だね!なくなってしまったら、僕は楽しみを失って生きていけないよ。
ほかの植物油より安くて供給も安定しているから発電用にも使われるようになっている。バイオマス発電燃料として再生可能エネルギー固定価格制度(FIT)の対象となっているから、日本でもパーム油を燃料とした発電所の建設計画がたくさん持ち上がっているわ。
石油やガスの代わりにパーム油を燃やして発電するってわけか!植物由来だったら生産の過程で地球温暖化の原因になる二酸化炭素(CO2)を吸収してくれるから地球環境にも優しいね!
そうね。だけど、そうとも言い切れないとの指摘もあるの。
どういうこと?
アブラヤシは赤道近くの熱帯地方でしか育たないから、熱帯雨林を開拓して栽培されるの。そうすると、CO2をたくさん吸収してくれる熱帯雨林が失われてしまうのよ。実際、商業作物としてアブラヤシの生産を増やしてきたインドネシアやマレーシアでは、熱帯雨林の多くが消滅してしまったわ。
アブラヤシは栽培の過程ではCO2を吸収してくれるからいいけど、農園の開発過程まで考慮すると、マイナスの影響もあるってわけか。
それだけじゃないの。熱帯雨林の下に広がる泥炭湿地がアブラヤシ農園を開発する過程でCO2を排出することも問題視されている。
泥炭湿地?
水の中で樹木が分解されずに堆積し長年かけて炭化した泥炭が蓄積した湿地のことなの。大量の炭素を含んでいる。農園を開発するには水を抜いて乾燥させる必要があるのだけど、その際に炭素(C)と空気中の酸素(O2)が混ざり、CO2が出てしまうみたい。
なるほど、アブラヤシの生産はCO2を減らさなくするだけじゃなくて、増やしてしまうことにもつながるのか。そう考えると、パーム油発電がエコなのかどうかよくわからなくなってくるな。なんだか、かめりんの話を聞いていたら、自分の食の趣味に対する見方もちょっと変わってきたよ。
食品も電気もそれがどうやってできているのか知ることはとても大切なことだと思うわ。
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(文:須藤 )
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