第153回 原油調整金の円建て換算方法! ~の巻(2020年8月12日)
国内の石油市場では最近、産油国が課す原油の調整金に対する注目度が高まっているんだ。
調整金とは「やさエネ第150回」で学んだやつだね。なぜ、注目されているのかな。
石油元売りが特約店に毎週通知する石油製品の仕切り価格(卸価格)に、調整金を加味しているとの噂が流れているからなんだ。
そういえば、主要な元売りは2020年7月末、仕切り価格を前週比でリットルあたり4円引き上げたそうだね。
その通り。そこで今回は調整金変動幅の円建て換算方法をみてみよう。
算数は苦手なんだよな・・・。
難しい計算は必要ないよ。「①変動幅を円建てにする」「②単位をバレルからキロリットル(kl)に換算する」。この2つだけ。
・・・。
代表油種のアラブライト原油を例にみていこう。サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコは7月積みの同原油に対する調整金を前月比でバレルあたり6.1ドル引き上げた。為替を107.23円(財務省為替レート)とすると、この6.1ドルは円換算でいくらかわかる?
6.1ドル×107.23円で654円?
正解!ただ、654円はバレル当たりの数字だから、今度はこれをklに換算する。この換算には係数6.29をかければいい。1kl=6.29バレルだからね。
654円×6.29でklあたり4,114円?ざっくり約4,000円になった。
1kl=1,000リットルだから、調整金の円建て変動幅はリットルあたり約プラス4円ということになる。
冒頭の仕切り価格の引き上げ幅とほぼ同値になったよ。ところで調整金の仕切り価格への反映のタイミングは1カ月ほどずれているんだね。
日本への原油の輸送に時間がかかるためとみられているよ。
せっかくだから、8月積み以降のアラブライト原油調整金をもとに練習問題をしてもいいかな。
もちろん。リムのマーケットニュースによれば、8月積みの調整金は前月比1ドルの引き上げだった。為替は暫定的に106.59円(TTS。8月7日時点)としてみよう。
1ドル×106.59円×6.29=kl当たりプラス670円、つまりリットル当たりプラス0.67円か。
そうだね。このため市場関係者の間では、9月の仕切り価格には調整金がざっくり0.6~0.7円程度上乗せされるとの予想が出ている。直近では9月積みの調整金が0.3ドルの引き下げと通知された。
マイナス0.3ドル×106.59円(為替は暫定)×6.29=kl当たりマイナス201円か。つまり大まかに計算すれば、10月の仕切り価格はリットルあたり0.2円程度の引き下げ要因となる可能性があるってことかな。
石油元売りから仕切り価格の具体的な計算式は公表されていないから、あくまで市場関係者の間で行われている試算ということになるけどね。為替も変わる可能性がある。
なるほど。僕も調整金に注目して、今度10月積みが通知されたら自分で円換算してみるよ!
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(文:西江 )
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