第156回 ~未来の船の燃料は?? ~の巻(2020年9月23日)
うーん、これは大変だ・・
うさりん、難しい顔してどうしたの?
最近、船が座礁して燃料の油が海に流出したというニュースがあったよね。回収作業の映像を見ていたら、自然や生物への影響が心配になったんだ。
そうね。決して簡単な問題ではないけれど、現地の人だけでなく、世界中が協力しようと人材や物資の援助が集まっているみたい。
うん、環境への意識が高まっているからだよね。船の燃料も、環境負担を下げるために、色々な燃料の活用が進められているんだって。
液化天然ガス(LNG)や液化石油ガス(LPG)のようなガス燃料がこれから普及するって読んだことがあるわ。
そうなんだ。2020年1月から、船の燃料では硫黄という成分の規制が厳しくなったけれど、2050年に向けて、世界の海運業界全体で温室効果ガスの排出量を削減しようっていう目標があるんだ。
LNGやLPGを使うと、これまでの燃料に比べて温室効果ガスの排出が10~30%削減できるという計算があるわね。ただ、課題も多いそうだけど・・
一番の障壁は、初期投資が高いことなんだ。それに、運用上の問題もあるね。いま使われている船の燃料である重油は常温下で液体だけど、ガス燃料は超低温や高圧にすることで液体に保つことができるっていう大きな違いがある。インフラやエンジンといった、燃料そのもの以外の整備や普及が必要なんだ。
長所と短所をきちんと理解しないといけないわね。日本でも導入の動きがみられるのよね。
LNGを燃料に使っているタグボート(他船や水上の構造物を動かすための船)が運航されているよ。LPGを燃料に使う大型のLPG運搬船(VLGC)の建造も受注が増えているんだ。
ガス燃料が普及すれば、温室効果ガスの削減は達成できそうなのかしら?
重油とガス燃料の組み合わせだけでは、クリアするのは難しいって考えられているよ。目標達成には、これらの取り組みに加え、水素やアンモニアのような、二酸化炭素の発生ゼロの燃料も普及させることが不可欠って理解されているね。
よく調べたわね、すごいわうさりん!ニュースをきっかけに今起こっていることや未来への動きを学ぶことも、環境問題に対してわたしたちができることの一つかもしれないわ。
リムでは、船の燃料の重油ってなに?という動画が公開中だよ。ガス燃料を含めた船の燃料の最新情報は、CROSS VIEWというレポートに詳しく書いてある。みなさんも気になる問題を調べる際に、是非、ご活用ください!
【お知らせ】 このコーナーに対するご意見、ご質問は、下記まで 電話 03-3552-2411 メール [email protected] |
(文:柏原 )
「やさしいエネルギー講座」から出題!
船の燃料として今後普及が期待されているもので、当てはまらないものは?
正解と思ったボタンを押してみよう。
エネルギーの知識をさらに深めたい人は、一般社団法人日本エネルギープランナー協会の検定に挑戦してみよう!
(リム情報開発は、一般社団法人日本エネルギープランナー協会を応援しています)