第162回 ~水素を支える都市ガスとLPガス ~の巻(2020年12月16日)
かめりん、もうすぐ新しい年がやってくるけど、エネルギーにとっても新しい年が始まりそうだね!
そうね。例えば水素エネルギーなんて、最近よく取り上げられているわよね。
水素エネルギーって未来のエネルギーだと思っていたけど、結構身近で使われているんだよね。「エネファーム」とか!
家庭用の燃料電池ね。水素と酸素を反応させて電気をつくって、発生する熱でお湯まで作っちゃう優れものよね!
そのエネファームで水素を作るために、都市ガスやLPガスが使われているんだよね。一見、どちらも水素とは結びつかないけれど・・・
都市ガスの主成分のメタンやLPガスは炭素(C)と水素(H)を含むから「炭化水素」と呼ばれているんだけど、これらと水を高温の状態で反応させると水素を作れるの。「水蒸気改質」っていう方法ね。
そうか、そもそもメタンやLPガスにも水素(H)が含まれているんだ!あれ、でも水素を作るとどうして電気とお湯ができるんだろう?もしかして、実は装置の中で都市ガスやLPガスをそのまま使っているんじゃないの?
空気中の酸素を取り込んで、装置で作った水素を反応させると水ができるんだけど、この化学反応で電気と熱が発生するの。こんなふうに、化学反応で発生する電気を取り出すようにしたものを電池って呼ぶのね。
なるほど。都市ガスやLPガスで水素を作っているのは家庭用だけかな?
燃料電池を積んで走る車、燃料電池車(FCV)の普及がこれから期待されているわよね。ガソリン車は給油するためのガソリンスタンドがいるのと同じで、燃料電池車には水素を補充する水素ステーションが必要になるの。水素ステーションには、別の場所で水素を製造して運んでくる「オフサイト型」と、その場で製造する「オンサイト型」があるんだけど、オンサイト型では都市ガスやLPガスが使われているわね。
都市ガスはパイプラインで、LPガスはタンクローリーで運べてインフラ設備が整っているから、原料として使いやすいっていう良さがあるね。ということは、水素エネルギーが普及する新しい社会でも、都市ガスやLPガスは使われ続けるってことだね!
ただ、さっきも言ったとおり、都市ガスやLPガスには炭素(C)が含まれるから、水素を製造するときに酸素と炭素が結びついて二酸化炭素が発生してしまうっていう課題があるわ。
今のやり方を続けていると、二酸化炭素を発生させながら水素エネルギーを使うことになるんだね。うーん、どうしたら・・・
二酸化炭素を回収して都市ガスに含まれるメタンを製造する技術や、植物からLPガスの成分、プロパンやブタンを合成するっていう技術の開発が行われているの。まだ研究段階のものが多いけれど、どうしたらこれまでの燃料も使い続けられるかっていう取組みが進んでいることも知っておかなきゃいけないわね。
新しいエネルギーにも今ある身近なエネルギーの存在が欠かせないっていうことがわかったよ。それに、都市ガスやLPガスもクリーンなエネルギーになれるかもしれないんだね、調べてみるよ!ありがとう、かめりん!
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(文:柏原 )
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