第173回 ~CCUSでCO2排出の少ない石炭火力発電へ ~の巻(2021年6月2日)
温室効果ガス削減の動きが世界的に広がる中で、石炭火力発電への風当たりが強まっているね
そうね。2021年5月開催の主要7カ国(G7)気候・環境相会合で発表した共同声明でも、石炭火力発電についての開発援助や輸出支援を終わらせるために、年末までに具体的な措置を取る、としていたね
日本は石炭火力発電の輸出支援をしているから、G7の他国とは少し足並みがそろっていないようだったけど、声明とは矛盾していないのかな
輸出先の多くが、当面は低コストな石炭火力発電を使わざるをえない途上国であることや、最先端技術を使った環境への負荷が少ない設備を輸出していることを説明して、理解を求めたみたいだね
なるほど。その最先端技術ってどういうものなの? 石炭を燃やすとたくさん二酸化炭素が排出されるっていうのは知っているよ
いくつかあるけど、そのひとつがCCUSっていう技術よ
聞いたことないや。CCUSってなに?
二酸化炭素(CO2)、回収(Capture)、利用(Utilization)、貯留(Stroage)の頭文字をとってCCUSっていうのよ。カーボンリサイクルとも呼ばれるわ
二酸化炭素を回収して、使ったり、貯めたりするの?
そう。原油や石炭を燃やすと出てくる気体のなかから二酸化炭素を分離して集めて、いろんなことに利用するの
利用するって、二酸化炭素ってどんなことに使えるの?
たとえば二酸化炭素を固体にすると?
ドライアイスだ!
植物が光合成をするのに必要な要素は、日光と水と?
二酸化炭素だね!!
他にもコンクリートの原料に転用することもできるんだよ
いろんな使い道があるんだね
二酸化炭素の使い道はいろいろとあるから、大気中への排出を抑えてうまくほかの産業に利用できればいいよね、っていう技術なんだ
画期的な技術に思えたけど、課題はあるの?
まだ課題はいくつかあるけれど、一番はコストの問題かしら。貯留するのに適した地層を調査する必要もあるわ。
そうかー。でもアジアは石炭の生産が豊富だし、経済成長で電力需要も増えていく見込みだから、CCUS技術が実用化されて環境にやさしい石炭火力発電が広がるといいよね
そうね。これで環境保護とアジアの発展の両方に貢献できたらいいね
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(文:犬塚 )
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