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  • 第262回 ~バイオ燃料が温室効果ガスの削減に有効?~の巻
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    第177回 ~合成燃料 ~の巻(2021年7月28日)

    脱炭素社会に向けて、産官学一体となっていろいろな分野で新しいエネルギーの研究開発が進んでいるようだね。

    例えばどんなものがあるのかしら?

    経産省資源エネルギー庁が主体となり、横浜国立大学、ENEOS、産業技術総合研究所など7団体に業務を委託している事業があるよ。期間は2020~2024年度の5年間で予算総額は約45億円。

    新しいエネルギーということは、これまで未発見だったエネルギーなの?

    実は既存のある「もの」を利用し、複雑な合成技術で新ジャンルのエネルギーを研究開発しているんだ。

    その「もの」って何なのかしら?

    工場や火力発電所から排出された二酸化炭素(CO2)と水素を加工して合成燃料を作るんだ。複数の炭化水素化合物の集合体なので、「人工的な原油」とも言われているよ。

    そんな技術があるのね。しかもCO2をベースにしているから、これまで人類が悩まされてきた地球温暖化の解決の糸口を見つけたんじゃないかしら。

    この合成燃料は石油製品と同様にエネルギー密度が高いのが特徴で、既存のトラックや飛行機など、動力を電気や水素に切り替えることが難しいとされている乗り物に使用できることが大きなメリットなんだ。CO2を使うので、脱炭素燃料として注目されそうだね。

    既存の乗り物をそのまま使用できるのは嬉しいわね。

    合成燃料は石油製品と比べて硫黄分や重金属分などが少ない、原料となるCO2は大気中から直接空気回収技術(DAC)で取り込むから脱炭素燃料とみなすことができるわ。

    それはクリーンなエネルギーね。

    今までの石油製品と変わらない使い勝手の合成燃料は、日本のエネルギー自給率を向上させ、中東諸国に集中している石油の地政学リスクを減らすことが出来そうだよ。

    今後の合成燃料の課題は?

    この研究は海外でも実証実験が進んでいるのだけれど、日本国内では製造技術の確立ができておらず、量産化に向けた製造効率などの問題点があるようなんだ。研究開発とともに革新的な製造技術が出来次第、実用化に向けた動きが出てくると期待されているよ。

    量産化が進めば単価が下がり、普及するのでしょうね。

    新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の試算によると、現在の技術では製造コストはリットルあたり約700円かかりそう。単価の大幅な引き下げが必要なんだ。

    やはり値段がネックなのね。

    普及にあたって既存のインフラを活用することが出来るよ。例えば輸送にはタンクローリーやバージ船、ガソリンスタンドなどだ。

    新しいクリーンなエネルギーの未来が楽しみだわ。

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    (文:方 友明 )
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    合成燃料の研究開発の主体は

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