第180回 ~ボトルtoボトルってなに? ~の巻(2021年9月8日)
かめりん、ゴミ出しに行ってくるね~。
あ!今日はペットボトルの回収日だわ。これも一緒に持って行ってくれる?
了解~。最近プラスチックごみを減らそうっていう動きが活発だけど、ペットボトルは回収箱をよく見かけるし、リサイクルが浸透している気がするね。
そうね、最近のペットボトルの回収率は85%以上と言われているわ。スーパーでよく見かける食品トレーの回収率が約30%だから、比べると高いわね。
今までよく考えたことなかったけど、回収されたペットボトルはどんなふうにリサイクルされているんだろう?
包装用品や衣類に使われる繊維、文房具のように違う製品に生まれ変わる「カスケードリサイクル」が主流ね。分別回収したペットボトルを細かく砕いて数ミリ角のフレーク状や粒状のペレットにして、再生原料としてそれぞれの製品の工場で利用するの。
なるほど、原料に戻すと用途が広がるんだね。ただ、ペットボトル以外のものに生まれ変わっても、そのあとリサイクルされずに捨てられてしまうものも多いかもしれないね。
うさりん鋭いわね。その課題を解決するために今注目されているのが、ペットボトルを原料に新しいペットボトルを作る、「ボトルtoボトル」っていうリサイクル法よ。
おー!つまり、ペットボトルを使って、回収してまたペットボトルを作って、、、って循環利用ができるようになるんだね。
そのとおり。使用済みペットボトルを回収してフレーク状の再生原料にするまでの工程はカスケードリサイクルと同じ。そこからは物理的な工程でペットボトルの原料にするメカニカルリサイクルと、化学分解を利用するケミカルリサイクルの2種類が日本で実用化されているわ。
どちらもあまり普及していなかったの?
これまで主流だったのはメカニカルリサイクルね。2011年にサントリーがリサイクル事業を行う協栄産業と協業で技術開発に成功して、100%再生ペットボトルの商品を販売しているの。
ケミカルリサイクルのほうは?
2009年から世界で唯一のケミカルリサイクルの商用工場として川崎市で工場が稼働していたんだけど、高いコストが課題で2017年に稼働が止まってしまっていたの。ペットボトルをそもそもの原料の石油から作るよりも数倍のコストがかかってしまっていたそうよ。
相当複雑な工程が必要ってことなんだね。
ペットボトルの「ペット」は、原料のポリエチレンテレフタレート(PET)から来ているんだけど、ケミカルリサイクルは、PETを作る途中に生成するBHET(ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレート)っていう物質を高純度で作ることが出来るの。メカニカルリサイクルより不純物がより除去できるという点で優れているけれど、そのためには複雑な工程が幾つも必要になるのね。
うーん、このままじゃせっかくの技術がもったいないな~。
いま注目って言ったでしょ!その工場が今年の夏に再稼働することになったのよ。日本環境設計という会社のもとでもう一度商用生産を再開して、アサヒ飲料も資金の援助をしていくそうよ。
脱炭素社会を目指そうっていう最近の流れが追い風になっているんだね!
日本環境設計は「ボトルtoボトル」のほかにも、回収した衣類から衣料の原料になる繊維を作る「服から服へ」循環できる技術も持っている会社なのよ。
リサイクルって昔から聞いていた言葉だけど、まだまだ知らない面白い技術が沢山あるんだな~。
リム情報開発が発行する季刊誌「エネルギー通信」の21年8月20日号で、日本環境設計に技術の強みやこれまでの取り組みを聞いたインタビュー記事が掲載されているわよ。詳しく知るにはもってこいね!
早速読んでみるよ!かめりんに負けないように最新の技術を勉強しなくっちゃ!
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(文:柏原 )
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