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  • 第262回 ~バイオ燃料が温室効果ガスの削減に有効?~の巻
    (11/27 12:00)

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    第212回 ~バイオリファイナリーってなに? ~の巻(2022年12月7日)

    うさりん、夏休みの前に「SAF」って何か、一緒に学んだのは覚えている?

    うん、「持続可能な航空機燃料」のことで、バイオマス資源を原料に作られるから、二酸化炭素(CO2)の排出を減らせる燃料だよね!

    そのSAFがどこで作られるか知っているかしら?

    どこ、、植物や使用済みの食用油から作られているんだよね、食品工場とかかなぁ。

    そもそも航空機燃料がどうやって作られているか、おさらいする必要があるわね。航空機で使う燃料は、ガソリンや灯油、化学製品の原料になるナフサと同じように、製油所で原油を蒸留して作られているのよ。

    そうだったそうだった。もしかして、SAFも製油所で作るってこと?

    そのとおり。設備の改造や追加が必要にはなるんだけどね。植物や食用油は、化学的には原油と同じ、炭素と水素からできた炭化水素という仲間なの。原油の代わりにバイオマス資源を原料に燃料を生産する技術や設備のことを「バイオリファイナリー」って呼ぶのよ。

    すごいや!製油所もCO2を排出しない施設に生まれ変わることができるんだね!もしかして、SAF以外のものも作れるんじゃないかな?

    そうなの。何を原料に使うかで取り出せるものは違うけれど、バイオエタノール、バイオマスナフサ、バイオLPGのように、製油所で生産できる燃料や原料を作ることが出来るわね。

    バイオマスナフサが作れれば、バイオマスプラスチックを生産することも出来て、製品の脱炭素化にも貢献できるね! バイオリファイナリーは世界に広がっているのかな?

    産業として世界で最も発展しているのは米国ね。特に、バイオエタノールの生産では世界の60%のシェアを占めているそうよ。米国の主力生産物のコーンを原料にバイオエタノールを作っていたのが原点ね。いまは、食糧と競合するという観点から、トウモロコシの茎や葉を原料として生産する技術への転換が図られているわ。

    茎や葉っぱが使えるなら、食糧問題には発展しないし、良いこと尽くしだね。

    ただ、これらや稲わら、木くずといった食糧と競合しないバイオマス資源は、セルロースっていう分解しにくい物質を含んでいるのが難点なのよね。分解するのに多くのエネルギーを消費してしまうのよ。

    それは困ったな。それに、これまでの製油所は原油だけを使っていたけれど、バイオマス資源はトウモロコシや廃食油、生ごみ、木くずって種類が多いよね。一筋縄ではいかなそう。。

    そうね、原料毎に生産技術を開発しなければいけなくて、商業化にはまだ時間のかかる技術も多いわね。でも、原料が偏らず、国や地域毎に製油所の周りで収集できるバイオマス資源を使うことが出来れば、地政学リスクを減らすことや輸送時に発生するCO2の削減にも貢献できて、メリットが大きいわ。

    課題も大きいけれど、挑戦する意義はもっと大きいということだね。わくわくするな~もっと勉強したくなっちゃった!

    リム情報開発が発行する季刊誌「エネルギー通信」の22年8月号や11月号で、世界のバイオリファイナリーの動向について纏めてあるから、ぜひ読んでみて!

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    (文:柏原 )
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