第215回 ~どこまでできるエネルギーの自給自足? ~太陽光パネル設置の義務化 ~の巻(2023年1月25日)
ねえねえ、うさりん、この部屋少し寒くない?もう少し暖房の温度を上げてもいいかしら?
え~、申し訳ないけど、最近は電気代がどんどん値上がりしているから、節電してるんだよねぇ…。もう一枚、上着貸すから、それを着てくれるかな?
きつい~!! 私はあなたみたいに毛皮がないから、寒いのがホントに苦手なのにぃ…。くしゃん!
しょうがないな、じゃあ、もう少し温度上げてあげるよ。まさかこんなにどんどん電気代が値上がりする時代になるとはなぁ…
そんな状況の影響もあって、電力の自給自足を目指して、12月にとうとう東京都が全国で初めて条例で太陽光パネルの設置の義務化に踏み切ったのよね。
どんな条例?義務化って、なんとなく『やらないと怒られる!!』といったニュアンスを感じるなぁ~
この条例は、延べ床面積2,000平方メートル未満の新築戸建て住宅などに、太陽光パネルの設置を義務づけるというものよ。ただし、消費者である都民対象ではなくて、都内の大手住宅メーカー約50社が対象よ。だから、私たち消費者に直接の影響はないし、怖いものではないわよ。正式施行は2025年4月からで、各メーカーは、供給棟数、地域ごとの日照条件などに応じて、割り当てられた発電総量のノルマの達成を目指さないといけないわ。けれど、ノルマを達成できなかったからといって、罰則はまだないのよ。
そうなんだ。電力が自給自足できたら、ものすごく助かるなあ。でも、どうして、今頃になって条例が成立したんだい?
理由の1つに、太陽光発電システムを設置するための費用がだいぶ安くなったことが挙げられるわね。以前は太陽光発電システムはとても高価なものだったの。併せて当時は、設置する目的も作った電力を自己消費するよりも、余った電力を売って儲けるという目的の方が大きかったわ。でも、最近では海外での戦争や為替の変動に起因するエネルギー価格の値上がりから、売るというよりも、自給自足の目的で設置することが主流になっていくのではないかしら。特に自家発電は、災害大国である日本にとって、災害に対するリスクを減らせるのが大きな魅力だわ。
確かに、自宅で発電ができたら、災害時は本当に助かるねえ。いいことずくめなら、東京都だけでなく、全国レベルで義務化したらいいんじゃないかな。
やがては、その方向になっていくかもしれないわね。ただ、新しい試みだから、やっぱりまだまだいろいろな課題も言われてるの。
どんな課題があるの?
太陽光発電システムのメンテナンス問題があるわね。増やすのはいいけれど、いつかは古くなって、使えなくなった劣化太陽光パネルの処理をどうするか考えないといけないわ。それに太陽光発電システムを設置できるのは一部の高所得者世帯のみで、全員の人が利益を受けられるのかという見方もあるわね。
なるほど。この条例もまだまだ試行錯誤中なんだね~。先は長いな。よし! 今日は、とりあえず、かめりんがすぐに温まるように、甘酒を作ってあげるよ。
ありがとう〜。甘酒大好き! 寒い時に飲んだ方が、余計に美味しく感じられるからちょうどいいかも! 節電も悪いことばっかりじゃないかもね!
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(文:寺島 )
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