第233回 ~VLGCフレートが過去最高?~の巻(2023年10月11日)
大変!需要期を前にVLGCのフレートコストが高騰しているみたいよ!
なんだって!?その前に、VLGCとかフレートコストって一体何のこと?
VLGCっていうのは、Very Large Gas Carrierの略で、液化石油ガス(LPG)を運搬する大型の船を指すの。LPGのタンクが4つあって、それぞれにおよそ1万トンのLPGを積めるの。VLGC1隻で4万4,000~4万6,000トンを運ぶ船が主流ね。
フレートコスト、というのはVLGCの運賃のこと?
そのとおり。VLGCでLPGを運ぶ運賃が9月に高騰したの。ところで日本のLPGはどこから来ているか知っているかしら?
産油国や産ガス国からだから、中東や米国だね。どちらの地域から運んでも、運賃が高いの?
まず中東から日本に運ぶ場合、リムのLPGレポートによると、2023年9月のフレート相場の月間平均値はトンあたり156ドルだった。月間平均値では、LPGレポートが始まって以来の過去最高値だったわ。8月の平均値は98ドルだったから、1.5倍以上になったのね。
米国からの場合もみてみよう。パナマ運河を経由する船舶の米国から日本のフレート相場は、9月の月間平均値がトンあたり225ドル!月間平均値で200ドルを超えているのなんて見たことないよ。
どちらから運んでも、これまでにない運賃が掛かったってことね。
日本でLPGの輸入が増えるのは、給湯用需要が強まる冬場だよね。9月はまだ残暑も厳しかったし、それほどLPGを輸入したとは思えない。どうしてこんなにフレート相場が高騰したんだろう?
うさりんの言うとおり、日本を含む極東への輸出はそれほど増えていないわ。中東からのフレート相場を押し上げた理由のひとつは、インド揚げの傭船需要が増えたこと、と言われているわ。
中東からインドにLPGを運ぶ機会が増えて、船が足りなくなったってこと?
簡単に言うとそういうことね。インドでは11月にディワリっていう、インドのお正月にあたる祝祭シーズンがやってくるの。このシーズンを前にインドの輸入業者がLPGの調達を増やしていて、スポット市場で傭船する機会が増えたのね。市況より高い価格で傭船されるケースが増えて、結果的に中東/日本の相場も上がってしまったのよ。
米国からのフレート相場も同じ理由で上がったのかな?
もちろん、中東積みのフレート相場が上がったことも一因ね。それ以外にも、パナマ運河が混雑していて、船がなかなか積み地に戻ってこないこと。そして、協調減産を続けている中東とは違って、米国からのLPG供給は増えているから、傭船需要が堅調なことも相場を押し上げた要因とみられているわね。
LPGの輸入価格は、CPやモントベルビュー市況といった積み地の価格だけではなくて、フレート相場の変動も大きな影響があるよね。
そのとおり。これから来る需要期に、フレート相場がどうなるか注目しているプレーヤーは多いわ。わたしたちもLPGレポートを読んで、確認しましょう!
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(文:柏原 )
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