第263回 ~バイオマスってなんだっけ? ~の巻(2024年12月11日)
うさりん、何を熱心に読んでいるの?
リム情報開発の新しいレポート、『液体バイオ燃料レポート』だよ。エネルギー業界が注目する新しい燃料だからね。いまから読んで勉強するんだ。
バイオディーゼルや持続可能な航空燃料(SAF)の最新の動向が載っているのよね。2050年のカーボンニュートラル達成に向けて、バイオマス由来の燃料の利用は欠かせないわ。
あれ、バイオマスって液体だけじゃなくて固体もあったよね。そもそもバイオマスって何だっけ?
生物資源を意味するバイオと、量を意味するマスからできている言葉で、もともとはある空間に存在する生物の量という意味だけど、いまは『再生可能な生物由来の有機性資源』と定義されているわね。
有機性?
炭素を含む物質のことを有機性の物質、有機物と呼ぶの。燃やすと炭素と酸素が結びついて二酸化炭素が発生する物質と言ってもいいわね。
生物由来だったら石油も当てはまるんじゃないかしら。
石油や石炭のような化石資源は、太古の昔の生物の死骸が長い年月をかけて変化したものなの。地中に蓄積するよりも早いスピードで消費されるから、再生可能な資源とは言えないのよ。
なるほどね。例えば製材工場から出た残材や間伐材を燃料として使えば、木が蓄えていた炭素が二酸化炭素として出てくるだけだからカーボンニュートラルといえるし、木をまた植えれば再生可能だね。
木材以外にも色々あるわよ。生ごみや家畜の排せつ物、下水処理場から出る汚泥。これらも、もともとは家畜や私たちが食事で摂取したものからできているから生物由来と言えるわよね。
でも、使えないから捨ててしまったのであって、資源とは言えないんじゃない?
これらを微生物の力で発酵させると、都市ガスと同じ『メタン』を含むガスを作ることができるの。バイオマス由来のガス、バイオガスと呼ばれているわ。日本にも、木質の燃料を燃やすバイオマス発電だけじゃなく、バイオガスで発電する発電所もあるのよ。
知らなかったな~。バイオマスにはほかにどんなものがあるの?
稲わらや麦わら、もみがらは未利用バイオマスと呼ばれていて、海外で発電での利用が計画されている。それ以外にも、資源として利用することを目的に作られている、資源作物と呼ばれるものもあるわ。ミドリムシに代表される微細藻類、バイオエタノールの原料になっているトウモロコシ、サトウキビがそれね。
世の中にはたくさんの種類のバイオマスがあるんだね。バイオマスを資源として使えば、化石資源と違って枯渇することがないし安心だね。
そうとも言えないわ。例えば木材を資源として使うにしても、伐採ばかりで森林の管理を怠れば再生可能と言えるかしら。今も豊富な化石資源の代替でバイオ燃料の利用拡大が進めば、バイオマスそのものの奪い合いになるとも心配されている。持続可能かどうかも重要なポイントよ。
身近にあるバイオマスを、再生可能な範囲で使っていくことが大事になるね。かめりん、勉強になったよ!
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(文:柏原 )
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