アジア石油製品=2月24~28日:ナフサ市況高、中国の新規装置への需要増
ガソリン 全面高、フレート安や域内の供給減が強材料に 北東アジア積みガソリン(MR船型)の市況連動相場は前週と比べて、全面高となった。これまでの相場に対する値ごろ感から、買い気が喚起されている。フレートが下落している点もFOBベースの取引価格を押し上げた。韓国とシンガポール間でMR船型の運賃はバレルあたり2.00ドル近辺。 加えて、北東アジアの供給が減少しそうだ。日本ではENEOSの製油所でトラブルが続いており、輸出は減少しそうだ。中国では、製油所の定修に加え、内需向けの供給を優先することから、石油会社は輸出を抑えたい意向で、3月の輸出予定量は合計60万トン程度になりそうだ。韓国では、3月以降にGSカルテックスなど複数の石油会社が定修を実施するため、輸出余力が低下している。 韓国のGSカルテックスは入札を通じて3月16~20日積み91RONガソリン(MR船型)を販売した。販売価格はFOBベースでシンガポール市況対比75セント前後のプレミアムで、このカーゴは豪州に向けられる。
ナフサ クラッカー2基が停電で停止 韓国デサン 4月前半日本着オープンスペック・ナフサの市況連動相場は上伸した。需給の引き締まりを受けた。中国の新規ナフサクラッカー向けの原料調達が活発になっているという。一方で欧州からアジアへのアーブ数量が少ないため、需給引き締まり感が強まっているとみられる。4月後半着以降、ガソリン基材としての需要増加が見込まれ、支援材料となる可能性がある。 日本の石化1社は26日、入札を通じて、4月前半着オープンスペック2万5,000トンを2カーゴ調達。このうち、4月1~15日着1カーゴがCFRベースで3月前半市況に対し、15.00ドル近辺のプレミアムで成約された。一方で、もう1カーゴは受渡し日とスペックに条件を付けたようで、CFRベースで同20ドルを上回るプレミアムで成約されたと伝えられた。 中東積みナフサ(LR船型)の市況連動相場も需要の増加を受け、底堅い。クウェート石油公社(KPC)は3月24~26日積みフルレンジ・ナフサを販売済み。数量はLR1船型で、成約価格はFOBベースで中東市況に対し、約30ドルのプレミアムと伝えられた。このカーゴは中国の新規ナフサクラッカーに仕向けられるとの情報が伝えられた。 韓国のデサンで25日午前9時45分ころ、LG化学とロッテケミカルのナフサクラッカーや誘導品設備が停電のため停止した。ロッテケミカルは同日中にで、発電施設の運転を再開済み。3月1日にナフサクラッカーの稼働を再開し、2日にオンスペック品を確認する予定との見方が広がっている。 一方で、LG化学は設備の修繕作業中とみられ、ナフサクラッカーの稼働再開時期は判然としない。同社は25日、ナフサの買い付け入札を開示し、その後取り下げている。
中間留分 0.001%S軽油下落、供給増が重石に 北東アジア積みジェット燃料(MR船型)の市況連動相場は横ばい。中国や韓国の輸出が増え、4月積みの基調は弱まるとの見通しが示された。中国国営石油会社は足元で製油所の稼働率を高く維持しており、今後、販売を強化すると見込まれる。韓国ではGSカルテックスが26日から3月27日まで、常圧蒸留装置1基の定期修理を予定している。計画のとおりに定修が終了すれば、4月積みの販売可能な数量が回復する公算が大きい。 こうしたなか、中国企業が3月積みの販売を継続している。大連西太平洋石油化工(ウェペック)、中国海洋石油(CNOOC)、中国国際連合石化(ユニペック)が販売に動いた。 北東アジア積み0.001%S軽油(MR船型)の市況連動相場は軟化した。先物市況の期先安を嫌気し、下旬積みに対する買い気が減退している。さらに、韓国を中心とした北東アジアからの供給増も相場に下押し圧力をかけている。韓国では内需が振るわず、石油会社は余剰玉を積極的に輸出に振り向けている。 韓国の石油1社は3月下旬積みMR船型をFOBベースで同市況対比95セント近辺のディスカウントで販売した。
重油 韓国積み0.5%S市況は小幅高、VLSFO基材需要が増加 韓国積み0.5%S重油(MR船型)の市況連動相場は小幅に上昇した。余剰感がやや後退している。市場関係者によると、一部石油会社がバンカー市場でVLSFOの売り込みを強めた結果、基材となる0.5%S重油の余剰感が幾分、解消されたとの指摘が聞かれた。 韓国石油1社が3月上旬積みでMR船型1カーゴの低硫黄重油の販売を検討している様子。市場関係者によると、同社製油所の二次装置で今週、トラブルが発生し、処理しきれなくなった重油に余剰が生じた可能性があるという。 フィリップス66がシンガポールで重油用の浮体式タンクをリースしたと伝えられる。アジア域内では重油が余剰となるケースが増えており、長期的には持ち込み先の見当たらない玉がシンガポール周辺に集まる傾向が一段と強まるとの見方も聞かれた。
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