記者の眼記者の眼

第222回 (2023年11月22日)

 休日に近所の人気ラーメン店に初めて入った。ピーク時に行列のできる店だが、午後の遅い時間で店内は空いていた。食券を購入し席に着くと、やがてラーメンが運ばれてきた。期待を胸にスープを一口啜ると、明らかにぬるい。再度、スープを口に運んだが、やはりぬるい。スープを温め直して貰おうかと考えたが、スープを温めている間に麺が伸びてしまうことに気付き、思い直した。その途端に食べる気が失せて、結局、スープを2口飲んだだけで、店を出た。

 

 ラーメン代の1,100円を無駄にしたが、休日の食事の機会を台無しにしたくなかったし、不味いラーメンを嫌々食べる苦痛を味わいたくなかった。食べ残しは今流行のSDGs的には許されないだろうが、涙を呑んでも自分の体を大切にしたい。まして、食材を無駄にしたのは不味いラーメンを作った店だ。店を出たその足で、とんかつ屋に入り、揚げたてを食べた。

 

 大工が床の傾いた家を建てたり、板前が不味くて食えない料理を作ったら、職業人として失格の烙印を押される。しかし、自戒も込めて、言葉を生業とするマスコミや政治家は職業の特性だろうか、そういう厳格さが相対的に少なくて済んでいるかもしれない。「誤植のない本はない」と言われるが、日々のレポート業務において、新鮮なネタでミスのない記事を執筆しなければとの思いを改めて強くした。あのラーメンを他山の石としたい。

  

(小屋敷)

 

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