記者の眼記者の眼

第275回 (2024年12月11日)

 秋から冬にかけて、咳込むことが多い。アレルギーだそうだ。症状を緩和するには薬が欠かせないが、医薬品の流通が滞ることが多くなった。2023年に咳止めが手に入りにくくなったことは話題になったが、その他の薬も断続的に不足している。薬剤師には「後発医薬品(ジェネリック)がないので先発薬に変えてほしい」と頼まれる。医者からは「在庫があるから、あの薬局でもらっていった方がいい」と勧められる。薬を手に入れるのも一苦労だ。

 

 薬不足は、問題になった過剰摂取(オーバードース)ばかりが要因ではない。季節的に咳止めの必要な疾患が増えていることも一因だが、これはここ数年に限ったことではない。薬不足には様々な要因があるようだ。薬剤師に聞くと、原材料費が高騰しているため、製薬会社が生産を減らしていることも原因だという。現代の医薬品は、大半が石油から製造される。原油価格が上がれば、医薬品の製造コストも自ずと上昇する。さらに世界的なインフレにより、石油以外にもあらゆるモノの価格が高騰している。輸入に頼る日本では、ここ数年の円安傾向も追い打ちをかける。

 

 米国では2025年、トランプ氏が大統領に返り咲く。同氏のエネルギー政策は「ドリル・ベイビー・ドリル(石油を掘って、掘って、掘りまくれ)」だ。他方OPECプラスの協調減産は2026年末まで続くことが決まっている。このような中、同氏の公約どおりエネルギー価格は下落するのか。日本も目を離せない。

 

(深水)

 

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