記者の眼記者の眼

第272回 (2024年11月20日)

 司会やプレゼンで昔よく聞いた「レディース&ジェントルメン」という第一声。今日では「差別的で不快」と感じる人が増えていると聞く。ジェンダー平等などの意識が広がり、ポリティカルコレクトネスの観点から敬遠され始めているようだ。ポリティカルコレクトネスとは、人種、性別、年齢などによる差別をなくそうする考え方を指す。「常識」は変化するのだということを実感する。

 

 太陽光発電由来の再エネ電力を豪州からシンガポールに輸出するという「豪州・アジア・パワーリンク・プロジェクト(Australia-Asia PowerLinkAAPL)」が正式に始動した。太陽光由来の電力を実に4,300km離れたシンガポールに豪州から海底ケーブルにより供給するものだ。最初に報道があった2021年ころは、「コストが嵩みすぎて非現実的なため具体化しない」との声が多かった。しかし、豪州政府は今年8月、同国サン・ケーブル社は約12,400ヘクタール(東京ドーム2,652個分)という広大な土地に太陽光発電所(最大20ギガワット、GW)を建設することを承認した。さらに同社は先ごろ、ここで発電する1.75GWの輸出をシンガポールのエネルギー市場庁(EMA)から許可された。「シンガポール・グリーンプラン2030」という太陽光発電などによって二酸化炭素の排出量削減を狙う政府の政策が後押しした。プロジェクトは一時、資金難などから中止の危機に直面したが、最終的に両国政府がゴーサインを出したことになる。世の中の変化は実に早い。

   

(萩本)

 

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