記者の眼記者の眼

第287回 (2025年3月12日)

 日本を代表する自動車メーカーであるホンダと日産自動車が2024年末、経営統合への協議入りを発表した。しかし2月半ばに協議は打ち切られ、両社の経営統合の協議は白紙撤回された。経営統合の話題自体が青天の霹靂だったうえ、このビックニュースがわずか1カ月半程度で立ち消えになったことにも驚きを隠せない。

 

 なぜ日産がここまで苦境に立たされてしまったのかを論じる記事が散見されるが、「消費者のニーズや時代に合った商品を提供できていない」ことを原因とする論調が大半のようだ。日産は「e-POWER」や「プロパイロット」など他社に引けを取らない先進的な技術を有しているため、「技術の日産」という看板に偽りはないと思う。しかしいくら素晴らしい技術を持っていても、市場の求める製品を提供できなければ十分に評価されることは難しいということなのかもしれない。

 

 私も日々LNG市場の情報を発信しているが、購読者のニーズに合った情報を提供できているだろうか。自分では自信をもって提供できた記事でも、求められている情報が載っていなければ意味がない。万人にとって有益なレポートが提供できることが理想だが、せめて最大多数の最大幸福に適うものを作れるよう努めたいと思う。

 

 日産がこれからどのような道のりを歩むのかは不透明だが、日本車史に語り継がれる傑作を多く輩出した1980年代後半~90年代初頭の輝きを再び取り戻してくれることを願っている。

  

(朝比奈)

 

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