記者の眼記者の眼

第276回 (2024年12月18日)

 上海での暮らしが15年を迎えるなか、愛用しているガソリン車の使用もが10年目に入った。新車の購入を検討しているが、車種の選別に頭を悩ませている。新エネルギー車(NEV)の動向に注目してはいるものの、購入に踏ん切りが付かない。中国では政府支援策もあって、近年はNEV人気が高まっていたものの、最近はこのメリットが減りつつある。NEVの普及によりガソリン車の値下げも激しく、成熟したガソリン車の購入を再び視野に入れる人が増えている。

 

 中国政府は引き続きNEVの発展に注力するとみられる。中国工業・情報化部はNEVの発展を継続させる一方、内燃機関の技術も進める方針を示している。ただし、それは主に大型トラックや産業用機械を指しており、市場では、一般的なガソリン車ではないと解釈されている。

 

 統計によると、中国の2023年にNEVの保有台数は計2,000万台を超え、乗用車全体の6%以上を占めた。今年6月末には合計2,500万台に近づき、その比率も7%以上に上昇した。

 

 それでも、ここにきてNEVの普及が伸び悩んでいるのには、いくつかの理由が考えられる。性能が不安定なこと、火災など致命的な事故が目立つこと、ランニングコストの増加などが挙げられている。保険料の高止まりも負担だ。車両本体の安さだけがNEVの利点と感じる。

 

 最近では一部の地下駐車場がNEVの出入りを禁止している。NEVの火災で周辺の乗用車や建物に被害が広がるケースがあるためだ。また、道路整備の税金徴収をNEVに課し始めた地域もある。中国ではガソリン価格に道路整備のための税金を含んでおり、NEVはこれまでこの税金を免除されていた。こうしたことも考慮しながら、新車購入についてじっくりと考えてみたい。

 

 

(辺)

 

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