記者の眼記者の眼

第282回 (2025年2月5日)

 目を覚ますと、普段とは異なる尿意に襲われた。黒褐色の尿を目にしてからは、ただ事ではないと恐怖感にかられた。一体何の病なのか。お得意のスマートフォンで調べていると、今度は右腰に刺すような痛みが。しばらく横になるも、苦しみは増すばかり。救急車を呼ぼうとも考えたが、自転車に乗って死に物狂いで病院へ向かった。

 

 待合室では、痛みに耐えられず悶絶した。尿検査とレントゲン撮影を受けた。診断結果は「尿路結石」。水分分足や不摂生などが原因で、尿管に結石が生じる病だ。その後、まもなく結石は尿とともに排出され、事なきを得たのだが、女性看護師から肛門に鎮痛薬を押し入れられたのは、人生で最も恥ずかしい瞬間の一つとなった。

 

 7年前のその日から、食生活には気を遣っている。とくに、結石の生成因子となるシュウ酸には注意したい。ほうれんそう、小松菜、レタスといった葉菜類や、ナッツ類、さつまいも、たけのこ、ブロッコリー、チョコレート、バナナ、緑茶、ココア、コーヒーは、シュウ酸を含む食品の代表格。暴飲暴食を控えることはもちろん、十分量の水分補給、カルシウムやクエン酸を食事に取り入れることも予防に効果的だという。

 

 百聞は一見に如かず。あの日の痛みは経験した者にしかわからない。日々の市場動向を取材するなかで、いくつかの不確かな情報が入り交じったときは、「自分の目で見て事実を確かめたい」と、もどかしい思いを抱く。

  

(山根)

 

このコーナーに対するご意見、ご質問は、記者の眼まで 電話 03-3552-2411 メール [email protected]