記者の眼記者の眼

第279回 (2025年1月15日)

 小学高学年の頃には「大きくなったら新聞記者になる」と言っていたようだ。もう少し成長すると「小説家になる」と語っていた。多分何か自分だけがわかっている気になっていた正義みたいなものを、真理みたいなものを、書くことで世の中に伝えられると漠然と思っていた節がある。

 

 社会人になった現在、エネルギー専門紙の発刊に従事している。子供のころの夢と大きくはずれていないのかな。でも、エネルギー燃料価格を評価するには、あるいはその周辺情報を書くには、経済や政治動向、取引業態など知るべきこと、理解すべきことが次々と押し寄せる。知識を積み上げ、理解を深め、情報を精査し、取捨選択しといった日々の業務に心がうまくかみ合わなくなったこともある。世の中の動向や現実が腑に落ちず、そんな中でもエネルギー市場は動くと愕然としたこともある。社会人になって意識したこともない真理だけど、「真理ってなに?」と呟いたこともある。そんな時もいつも、心の中の核みたいなもので判断し、業務を遂行するようにしてきた。その核は日々、知識や経験を積むことで少し揺れながら微妙に形を崩しながらも、常に自分の中にある。

 

 その核がひょっとしたら、子供のころから求めていたらしい真理に結び付くものなのかもしれない。今年は巳年、脱皮の年と言われる。意外と自分の中の核は常日頃、脱皮を続け真理へと向かっているのかなと、都合のいいことを考えた、巳年の正月だった。

  

 

(もり)

 

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