記者の眼記者の眼

第286回 (2025年3月5日)

 私は今ベトナムのダナンにいる。成田空港で預けた荷物をハノイのノイバイ空港で一度受け取り、その後再度ダナン向けの国内線に乗る際に預けることになっていた。ノイバイ空港に到着後、荷物のベルトコンベアを見つめていたが、待てど暮らせど自分のキャリーケースが流れてこない。しばらくすると航空会社のスタッフに声を掛けられ、荷物が成田に置き去りになったと知らされた。これまで何度も荷物を預けてきたが、こういった経験は初めてだった。パニックになりながらも遺失物取り扱いセンターで手続きを済ませ、次の日の夕刻には無事に受け取ることができた。結果として荷物が遅延する「ディレイドバゲージ」で済んだが、受け取るまでの不安な気持ちはこれからも忘れられないだろう。

 

 空港で預けた荷物が行方不明になる「ロストバゲージ」の発生率は意外と高い。国際航空情報通信機構(SITA)が発表したレポートによれば、2023年のロストバゲージ発生率は0.69%。つまり1,000件につき69件発生する。その中でもアジアは0.3%と世界的に低いが、現実的に遭遇しうる可能性があると言えるだろう。キャリーケースにはネームタグや位置情報の探知タグをつける、万が一に備えて海外保険に入っておくなど対策が大事だと改めて感じた。コロナ禍を乗り切り、観光や出張で飛行機に乗る機会が増えた。バインミーをほおばりながら、「渡航先で悲しい思いをしないよう、できる限りの備えをしよう」と誓った。

  

(和気)

 

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