第262回 (2024年9月11日)
国際的な選挙イヤーとうたわれた2024年。1月は台湾の総統選挙で民進党の頼氏が当選し、LNGの推進と原発廃止政策を市民が継続支持する格好となった。インドネシア、イラン、ロシア、インド、そして欧州と続いた国政選挙の一年を締めくくるのは、なんといっても11月の米大統領選挙だ。現職のバイデン大統領が選挙戦から撤退し、ハリス副大統領が民主党の顔となってからは、がぜん世界中の注目が集まっている。
シェール革命の影響が如実に表れてきた2010年代中盤以降、エネルギー業界における米国の存在感は増すばかりだ。原油もLNGもLPGも、世界最大の輸出国は米国。近年では米国の在庫や生産量に関するデータが、世界のエネルギー相場を動かす重要な材料になっている。
その米国では今年1月、バイデン政権が環境保護を理由に、LNGの新規輸出計画に対する許認可を一時的に凍結すると発表した。民主党は以前から脱炭素を推進しており、選挙戦を前に化石燃料への厳しい姿勢を改めて示すことで、有権者からの支持を得る狙いがあるとされている。
一方、トランプ前大統領はご存じのとおり、「掘って掘って掘りまくれ!」をエネルギー政策のモットーとする。トランプ氏がトップに返り咲けば、LNGの新規プロジェクトは瞬く間に認可され、再生可能エネルギーの比重は減るに違いない。パリ協定からも再び脱退する公算が大きい。エネルギーの明日を占う大一番。固唾を呑む、音がする。
(志賀)